「運動会を延期するな!」「雨だからやるな!」どっちを受け入れる?

運動会(体育祭)は雨天決行?それとも延期?

1.運動会(体育祭)の日が雨予報

ある学校で特別活動指導部長(特活部長)をしていたときの話です。

特別活動指導部とは、学校の行事や生徒会担当の校務分掌です。

生徒会や委員会、学級委員、生徒会選挙などの担当部署になります。

当然ですが、運動会(体育祭)や合唱コンクールなどの行事の担当でもあります。

その年の運動会(体育祭)も例年と同様に担当教員と担当生徒が主になり、全校で準備をしました。

様々な準備や練習を行った生徒会やカラーリーダーの子ども達は、運動会(体育祭)をとても楽しみにしています。

しかし、運動会(体育祭)当日の天気は「雨のち曇り」の予報です。

前日から雨が降って運動会(体育祭)当日の朝まで雨のようです。

この様子では、運動会(体育祭)は延期になる可能性が高いでしょう。

2.前日に決行or延期を決めたいな

運動会(体育祭)前日の放課後。

校長、教頭、主幹、特活部長の私で、運動会(体育祭)の決行or延期の話し合いがもたれます。

個人的には、事前の予定どおり小雨では、運動会(体育祭)を決行したいと思っていました。

ただ、この考えに深い意味はありません。

運動会(体育祭)のプログラムに「小雨決行」と書かれていたからです。

また、延期をするのであれば、前日に延期を決めたいとも思っていました。

この考えにも深い意味は全くありません。

単純に、翌朝の6時に学校に来てグランドを確認したり、延期の連絡メールを出すのが面倒だったからです。

朝早く起きて学校にくるための交通費も出ませんし報酬もないですからね。

3.子どものためには?決行?延期?

当時の校長は、生徒の事を第1に考える、子どもファーストの校長でした。

「決定は明日の朝にしましょう!」
「子ども達の気持ちも盛り上がっています!」
「可能であるなら予定どおりに運動会を行いましょう。」
「明日の朝6時に集合してください。」
「そこで、決行or延期を決めます。」

生徒会やカラーリーダーのガンバリを見ていた校長は、予定どおりに運動会(体育祭)を行いたかったようです。

事務的に決行or延期を考えていた自分とは違い、子どもファーストの考えを持っていた校長には頭が下がります。

しかし、この後、校長の子どもファーストによって保護者からの苦情が来るとは、この時は全く想像していませんでした。

4.やろうと思えば出来るけど・・・

翌日の朝6時。

校長、教頭、主幹、特別部長の私は学校に集合します。

「やろうと思えば出来なくもないですね!」
「ただ、この後も雨は降ったりやんだりの予報です。」
「午後からは晴れる予報になっていますが・・・。」

グランドの状態についても確認しました。

ぐちゃぐちゃではありませんが、雨を含んでいて気持ち緩い感じはします。

「やろうと思えば出来なくはないですね!」
「これで転んでしまう生徒がいるかもしれません。」
「午後から晴れれば問題ないように思いますが・・・。」

5.運動会は延期!晴れた日に全力でやらせてあげたい!

そこまで黙っていた校長が口を開きます。

「雨の中でやるのはやめよう!」
「万が一にも子ども達が風邪をひくのはよくない!」
「グランドも少し緩い感じがある。」
「これに関しても、子どもが足をすべらせてケガをしてしまったら大変だ!」
「子ども達が悔いなく、思いっきり運動会に臨めるようにしてあげよう!」

そして、最終決定を口にします。

「運動会は延期とします!」
「明日、良い天気の下、全力で運動会を行いましょう!」

校長は子ども達が、のびのびと運動会(体育祭)を楽しむことができるように延期を決断したのです。

6.延期決定後、天気が回復!ピーカンに!

延期が決定してスグに全校生徒に延期メールを送信しました。

これで、今日の仕事(ボランティア)はおしまいです。

私は家に帰り、子どもと買い物に行くことにしました。

買い物に出かけようと9時に外に出ると、外はピーカンの天気です。

(暑いくらいの快晴という意味です。)

「天気予報が外れたんだ~。」
「これなら、運動会を延期しなくても良かったな~。」

このように考えながら買い物に行くと、お店の近くの学校から「天国と地獄」が聞こえてきます。

どうやら、その学校では運動会(体育祭)を決行したようです。

7.運動会終了後に校長室で・・・

翌日、運動会(体育祭)が行われます。

校長の望み通り、晴れたグランドで子ども達は運動会(体育祭)を楽しみました。

しかし、運動会(体育祭)終了後、私と主幹は教頭に呼ばれます。

「スグに校長室に来て下さい!」
「とにかく申し訳なさそうな顔をして黙っていてください。」
「校長が頭を下げたら一緒に頭を下げてください!」
「分かりましたね!」

校長室に行くと3組の保護者が大きな声で何かを話しています。

8.何で延期にしたんだ!お弁当を2回つくった!

「昨日はなぜ運動会を延期にしたんだ!?」
「あんなに晴れていたじゃないか!」
「隣の学校はやっていたぞ!」
「何で延期にしたんだ!」
「日曜日にやるのが面倒だったのか?」

別の保護者も話し始めます。

「今日、私は会社に休みをもらいました。」
「子どもの運動会を見るためです!」
「昨日、延期にしなければ休みをもらわなくてすんだのに!」
「どうして、あんなに良い天気だったのに延期をしたんですか!」
「何か理由があるんじゃないですか!」

誰かのお母さんも話を始めます。

「運動会のお弁当をつくるのは大変なんですよ!」
「朝の5時に起きて作ってるんですよ!」
「昨日は小雨だったので時間をかけて作ったんですよ!」
「それなのに延期なんて・・・。」
「同じおかずだと子どもが嫌がるので、わざわざ違うおかずにしたんですよ!」
「先生達には、母親の苦労が分からないんですかね~?」

9.延期理由を伝えても・・・

さらにまずいことに、保護者達はプログラムに書かれている文言を盾に話しています。

「プログラムに小雨決行って書いてありますよね!」
「朝の時点で小雨でしたよね!」
「昨日は予報も小雨でしたよ!」
「それなのに、何で延期にしたんですか?」
「おかしいですよね?」
「何か言えない理由があったんじゃないですか?」
「結局、小雨ではなく晴れましたけど!」

校長は延期にした理由を伝えます。

「良い天気の下、全力で運動会をさせてあげたかったんです。」
「悔いなく、思いっきり運動会に臨めるようにしたかったんです。」
「子どもが風邪をひかないように、ケガをしないようにと考えたのです。」
「公にできない理由などありません。」
「プログラムに反して延期してしまい申し訳ありませんでした。」
「本当に子ども達のことを思って延期したんです。」

校長が説明をしても保護者は納得しません。

最終的には校長室で1時間ほど不満を言い、何とか帰っていただきました。

10.保護者ファーストになった校長

翌年。

校長が雨男なのか、運動会(体育祭)前日にまたまた小雨が降っています。

昨年同様に決行or延期で悩む天気です。

ただ、今年は「昨年のプログラム」にあった「小雨決行」の文言は消しておきました。

この文言があったことで、昨年はトラブルが起きてしまったからです。

しかし、昨年のトラブルがトラウマになってしまったのか、校長は保護者の話ばかりをします。

「お弁当の事を考えたら前日の決定がいいよね。」
「雨が強くなければ強行したほうがいいよね。」
「延期になって見に来られない保護者がいるとまずいよね。」など

11.運動会を決行するも雨が強くなり・・・

運動会(体育祭)当日の朝。

昨年と同じくらいの小雨が降っています。

しかし、校長は迷いませんでした。

「小雨なので運動会を決行します!」
「すぐに保護者に運動会決行のメールをして下さい。」

昨年の反省?を活かした校長は小雨の中の運動会(体育祭)決行を選択します。

しかし、昨年とは逆に小雨はなかなかやみません。

それどころか、どんどん強くなっていきました。

最終的にプログラムを前倒しして、13時には予定種目を全て終わらせることになったのです。

12.何で運動会を決行したんだ!

運動会(体育祭)終了後、私と主幹は教頭に呼ばれます。

校長室に行くと2組の保護者が大きな声で何かを話しています。

昨年、苦情を言ってきた保護者とは別のグループの保護者です。

「なぜ、運動会を延期にしなかったんだ!」
「あんな、雨の中で運動会をやるなんて!」
「子どもが風邪をひいたり、ケガをしたらどうするんですか?」

さらには、種目についての苦情も言ってきます。

「雨のせいで、いろいろな種目が中途半端になったじゃないか!」
「あれでは子どもがかわいそうです!」
「どうして延期をしなかったんですか?」
「学校の都合で子ども達にムリをさせるんですか?」
「運動会の主役は子ども達なんですよ!」
「子ども達のことを優先して下さい!」

校長と教頭、主幹と私はひたすら頭を下げ謝罪をしました。

この保護者達も、1時間ほど学校への不満を言い続けて帰っていきました。

翌年、校長は他の学校へ転勤になります。

その後、運動会(体育祭)の当日は常にピーカンの天気で決行or延期で悩むことはありませんでした。

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ぎりセーフ?授業参観に来たモンペの行動は?

苦情やクレームがないのでモンペではない?

1.授業参観中に大きな声でおしゃべりをするママ友たち

25年間の教員人生で、どれだけ授業参観をしたでしょうか?

今回は私が体験したマナーの悪い親、先輩や後輩から聞いたマナーの悪い親についてお伝えしたいと思います。

授業参観で最も多いのは「ママ友同士でおしゃべり」をする親です。

体育祭やリレー大会など、屋外の競技中に話をするのは良いと思います。

しかし、子どもたちが集中して授業を受けているときにおしゃべりに夢中になってしまう親がいます。

私が実際に体験したのは「ママ友同士が大きな声でおしゃべり」をしている場面です。

ただ、教室内ではなく「廊下」だったことは幸いでした。

それでも、声が大きいので話している内容は教室に筒抜けです。

2.様子を見に来た教頭に合図を送るも・・・

ちょうどそのとき、教頭がカメラを持って授業参観の様子を確認に来ました。

私は教頭に目で『ママ友同士のおしゃべりを注意して!』と訴えます。

すると、教頭が私の合図に気づき(?)うなずいてくれました。

教頭は廊下に出ると「大きな声でおしゃべりをしているママ友」のいる所には行かず、反対の方向に戻っていってしまいました。

仕方なく、私は勇気を出してママ友たちに声をかけます。

「申し訳ありませんが、もう少し小さな声でお願いいたします。」

幸い、ママ友たちから文句や苦情がくることはありませんでした。

先輩に話を聞くと、教室でおしゃべりを始めるママ友たちもいるとのこと。

先輩はそれを防止するために、学級通信に「授業参観のマナー」を載せ、さらには授業前に「参観マナー」について、お伝えしているとのことでした。

それ以降、私も学級通信に「授業参観のマナー」についての記事を載せることにしたのです。

3.授業中に子どもの側にいき答えを教える親

教師としてではなく、親として子どもの授業参観を見に行ったときの話です。

授業中、子どもたちが1人で問題を解く時間がありました。

それぞれが問題の解き方を自分で考える時間です。

その後、問題の解き方や答えについて班で話し合い、問題への理解を深める「話し合い学習」です。

子どもたちが問題を解き始めると、1人のお母さんがお子さんの席の所に行き、問題の答えを教え始めます。

さらには、班での話し合いのときも、お母さんは子どもの席の隣にしゃがんでいます。

4.話し合いが始まると班のMCに?

百歩譲って、近くで子どもを見たり、分からない所を教えたりするのは良いとしましょう。

しかし、このお母さんは話し合いにも口を出しています。

というか、その班の司会として「回し」を行っています。

「Aさんはそう思うんだ~!」
「Bくんの考え方は?」
「Cさんのやり方も教えてよ!」

若い担任の先生はどうして良いか分からず、そのお母さんをスルーしていました。

後から分かったことですが、そのお母さんは小学校の先生をしている方だったようです。

自分の子どもが心配という気持ちと、若い先生の授業進行に不満を感じたことで、勝手に補助教員として授業に参加したのかもしれません。

5.授業参観の写真撮影はOK?

授業参観にシャッター音が聞こえてくる体験は何度もしました。

学校によっては写真撮影が自由の学校もあるからです。

ただ、私が勤務した学校のほとんどは校内での写真撮影は不可でした。

これは、子どもたちの個人情報を保護する観点からです。

自分の子どもを中心に撮影したとしても、他の子が写ってしまうことは避けられません。

そのように写されてしまった子どもたちの個人情報に配慮して校内の撮影を禁止しているのです。

しかし、ある学校は写真撮影を許可していました。

そこで私はとてもスゴい2人の親御さんと遭遇するのです。

6.巨大レンズで連写音を響かせるお父さん

授業をしていると、本職のカメラマンが使うような巨大レンズ付きのカメラを持ったお父さんが、教室前のドアから入ってきました。

そして、自分のお子さんにカメラを向けて連写を始めます。

「カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ」

連写の音が教室に響きます。

撮影が許可されているため、私は注意が出来ませんでした。

しかし、定期的になる連写音に子どもたちの意識が持って行かれます。

当然、私の意識や視線も巨大カメラに持って行かれます。

問題の説明が終わったときや、話し合いの時に連写をして下さるのであれば、まだ、良いのですが・・・・。

お子さんの良い表情を逃したくなかったのでしょう。

笑顔だけでなく、説明に納得した表情の時にも連写の音は聞こえて来ました。

7.授業参観中、子どもの動画を撮り続ける親

巨大カメラのお父さんは、少し常識があったのかもしれません。

なぜなら、教室前方ドア付近で写真を撮っていたからです。

25年の教員生活では何度も授業参観をしてきました。

その中で最も強烈な印象を私に植え付けたお母さんがいます。

このお母さんは、授業の間、ずっと動画を撮影していました。

教室の後ろからでは子どもの顔が見えないためか、教室の前方から撮影をしています。

8.教室中を動き回り様々な角度で動画を撮影

ただ、巨大カメラのお父さんとは違い、教室の前方を勝手に移動します。

さすがに私が説明しているときは、前を通りませんが、私が板書をしているときや、子どもたちの様子を見るための机間支援をしているときは、教室中を好き勝手に動き回っています。

さらには、私が説明してる最中にお子さんに手を振り目線を要求したりもしました。

カメラと違い、一度、撮影ボタンを押してしまえば音が鳴ることはありません。

それでも、教室中を自由に動き回られたため、私も子どもも授業に集中することが出来ませんでした。

ちなみに、動画撮影ママのお子さんは、中学1年生の男の子です。

一人っ子だったようで、とても可愛がられていたのでしょう。

部活の顧問の話では、練習試合や大会でも動画撮影をしていたそうです。

朝1番で会場に来てベストポジションを陣取っていたとのことでした。

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未納の子供は給食を食べられるの?

未納くんの給食費は誰が払う?

1.給食費を払えるのに払わない親

少し古くなりますが、平成30年に文部科学省から発表された「学校給食の徴収状況調査」では、給食費未納がある学校は小学校42%、中学校55%とのことでした。

シングルマザーやシングルファザー、祖父母が子どもを育てている家庭など、貧困が原因で給食費や学年費を払えないのは仕方のないことです。

当然ですが、このような場合は、学校から公的機関の手続きや相談窓口などを紹介させていただきます。

もちろん、このような家庭の親御さんや祖父母の方に、学校が文句や苦情を言うことはありません。

お子さんやお孫さんに対しても同様です。

ただ、文部科学省の調査でも、私の教員経験でも、「払えるのに払わない家庭」が多くある事は問題です。

文部科学省の調査によると、給食費未納の約70%が「払えるのに払わない家庭」だそうです。

2.学校が勝手に作って食べさせているから払わない

「義務教育なんだから、給食費を払わないのは当然ですよね!」
「学校が勝手に給食を作って、食べさせようとしているんですから!」

給食費未納の親(略:未納親)がこのように言ってきたことがあります。

それならば、お弁当を持参して給食を停止(給食なしに)すればいいと思いませんか?

私が教師をしていた2つの都道府県では、「アレルギーで給食を食べられない子」のために、給食を停止することができました。

当然、給食費は発生しません。

給食の時間、みんなと一緒に「自分で持ってきたお弁当」を食べている子もいましたし、給食の時間だけ別室に行き「自分で持ってきたお弁当」を食べている子もいました。

周りの子どもたちも理由を分かっています。

だから、お弁当の事にはふれません。

給食とお弁当の違いはあっても、友達として普通におしゃべりをして、お互いに食事の時間を楽しんでいました。

3.給食を停止にしてお弁当を持ってくればいいのに・・・

この未納親も、自分でお弁当を作って、子どもに持たせればいいと思いませんか?そうすれば給食費を払わないで済むのに・・・・。

しかし、この未納親は筋の通らないことを言ってきます。

「うちの子は給食を、ムリヤリ、食べさせられているんです。」
「それなのに何でお金を払わなければいけないのですか?」

担任が給食の停止を勧めると、このように言ってきました。

「子どもが、突然、アレルギーになるわけないですよね!」
「もし、その嘘がばれていじめられたらどうするんですか?」
「理由を隠していても、周りの子はしつこく聞いてきますよね?」
「うちの子は、それを無視することが出来ないと思います。」
「給食を停止して子どもが不登校になったら、いじめられたら、学校は責任を取ってくれるんですか?」

4.主任の仕事は未納親に話をすることで回収ではない!

上記の未納親の言葉は、実際に私が聞いた言葉です。

校長からの命令により、主任と担任、生徒指導主事の私が家庭訪問をして未納親に言われた言葉なのです。

このような理不尽が許せない私は、どのような方法で給食費を払わせるかを考えます。

しかし、トラブルを嫌う主任はこう言います。

「とりあえず話が出来たから、私たちの仕事は終わりだよ!」
「まあ、払ってもらえなくても良いでしょう。」
「去年と同じように会計をすることになるんだから。」

若い担任の先生は納得いかない表情をしていました。

だからと言って、未納親にお金を払わせる方法が分からないのでしょう。

理不尽な状態を受け入れようとガンバっている感じがしました。

5.未納くんの給食はどうなるの?食べさせないの?

親が給食費や教材費、学年費などを払っていない場合、その子ども(以下、未納くん)にはどのようなマイナスがあるのでしょうか?

結論から言うと未納くんにマイナスが及ぶことは一切ありません。

本来であれば、給食費を払っていないのですから、未納くんに給食を提供する義務はありません。

お金を払わずにラーメンを食べたら、無銭飲食として警察に捕まるのは誰もが知っている事でしょう。

しかし、学校と社会は違います。

給食費を払っていないからと言って、未納くんだけ給食を食べさせないわけにはいかないのです。

お金を払っていないのは親であって未納くんではありません。当然、未納くんに責任はないのです。

実際、自分の親が給食費を払っていないことを知らない未納くんがほとんどです。

そんな未納くんたちに、先生たちがこのように言えるでしょうか?

「あなたの親は給食費を払っていないから、あなただけ給食はなしよ!」

もちろん、このような当然の言葉を未納くんに言うことはできません。

これが教育的配慮とよばれるものです。

6.給食を食べさせないで不登校になったら・・・

また、学校は「未納くんに給食を配らなかった」ことで、未納くんが「いじめ」られたり、「不登校」になってしまたりすることを恐れます。

給食費を払えるのに払わない親のほとんどはモンスターペアレントです。

そんなモンスターペアレントが「いじめ」について知ったらどうなるでしょう?

子どもが「不登校」になったら、どのように言ってくるでしょう?

もちろん、自分が給食費を払っていないから「いじめられた」「不登校になった」と思うことはありません。

なぜなら、理屈が通らないからこそ「モンスターペアレント」と呼ばれるのです。

このような親の対応をすると肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまうことでしょう。
 
これらの理由により、未納くんも他の子と同じ給食を食べることが出来るのです。

7.未納くんの給食費は誰が払うの?

それでは、未納親が払っていないお金は、どこから捻出されるのでしょうか?

給食費を払わない子どもには給食を提供しない自治体もありますし、私が勤務していた学校のように払わなくても提供する自治体もあります。

給食費に関して言うと、私が勤務していた自治体は「集めた給食費の合計によって献立を決める」対応を取っていました。

分かりやすくするために極端な例で説明をしたいと思います。

(実際には自治体から補助がでていること、全体の人数も多いことから1人ひとりの負担は小さくなるとお考え下さい。)

ある学校の全校生徒が10人だったとします。

給食費は1食300円です。

この場合、栄養士さんは「1回3000円」という予算を元に給食の献立を考えます。

しかし、その学校に未納親が5人いたとします。

半分の親が未納となりますので、学校に納められる給食費も半分の1500円となります。

このような場合、栄養士さんは「1回1500円」と言う予算を元に10人分の給食の献立を考えます。

1人あたり150円の給食が提供されるのです。

当然ですが、給食の質は落ちることになりますし、1人ひとりの給食の量も減ってしまうことでしょう。

子どもの大好きなデザートが提供できない自治体があったという話も聞いたことがあります。

8.結論

「給食費を未納している親が多ければ多いほど、給食の質が悪くなり量が減らされる。」
「真面目に給食費を払っている親のお金で、未納親の子どもは給食を食べている。」

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モンペの言葉は「理不尽?」それとも「正当?」

不要物のスマホを預かったら・・・

1.どの学校にもモンペはいる?

「あなたの学校にモンスターペアレントはいますか?」
「モンスターペアレントのウワサを聞いたことがありますか?」

私は25年の教員経験から、どの学校にもモンスターペアレントの親御さんが1人はいると思っています。

しかし、モンスターペアレントと呼ばれる親御さんのクレームや苦情をしっかりと聞いてきた私は、これらのクレームや苦情には3つの種類があると感じました。

2.理不尽なクレームやお願い

明らかに、親の「都合」や「偏った考え」から出てきているクレームです。

これは学校が対応すべき範囲を超えている内容の場合がほとんどです。

ただし、理不尽なお願いであっても、親御さんが苦しい状況で学校に助けを求めている場合もあります。

そんなときは、理不尽と分かっていても対応をしなければならないでしょう。

具体例

「スマホ没収時間の料金請求」
「仕事終わりの買い物を禁止しろ」
「HSCだから怒らないで」など

3.理解できる内容が含まれている苦情

苦情の内容に「理解できる事実」が含まれている場合もあります。

この場合は、学校として対応すべき内容と対応を検討する内容の分別が必要となります。

このような苦情は、学校側が事前に正しい支援や対応、周知徹底を行うことで、苦情を回避することができる事例が多いのも事実です。

具体例

「担任に叱られ傷ついた慰謝料を払え」
「授業参観中のおしゃべりや授業介入」
「連写で写真をとったり、動画を取るために動き回る親」
「おねしょが心配!3時間おきに子どもを起こして」など

4.正常な要望

学校はモンスターペアレントが言ってくる「クレーム」=「理不尽な要求」と捉えてしまうことがあります。

しかし、思い込みを捨てて話を聞くと、その内容が「正常な要望」であることも少なくありません。

この場合、学校はしかるべき対応を行わなければなりません。なぜなら、モンスターペアレントが言っていることが「正しい事柄」だからです。

具体例

「いじめられて学校に行けなくなった。学業の保障をしてほしい。」
「部活顧問が差別をしているのではないか?」
「なぜ、授業中に出歩いていることを注意しないのか?」など

5.スマホを持ってきたことがバレて没収!

放課後。1年生の昇降口前を通るとK先生が生徒を指導しています。

「今、スマホを使っていたよね!」
「私はこの目で見ましたよ!」
「学校にスマホを持ってきた場合は学校で預かると分かっていますよね?」
「早く、スマホを出しなさい!」
「保護者の方に連絡をして取りに来てもらいます。」
「あなたからも保護者に伝えておきなさい!」

どうやらスマホを持ってきて、コッソリ使っていたようです。

それを発見したK先生は学校の規則に従い生徒からスマホを預かりました。

K先生の対応を見るかぎり、何も間違ったことはしていないように思います。

この後、保護者に連絡をして、保護者がスマホを取りにきて、謝罪をしてくれれば、この問題は解決となります。

6.スマホ没収を保護者に連絡する担任

K先生はスマホを預かっている旨を保護者に連絡します。

すると、保護者はスグに学校に来てくれました。

後から分かったことですが、この保護者は「理不尽なクレーム」を小学校に言い続け、モンスターペアレントと言われていた保護者だったようです。

7.子供の個人情報を盗んだだろ!

開口一番、モンスターペアレントは意味の分からないことを言います。

「先生は勝手にラインやメールを見たのではないですか?」
「うちの子のスマホにはロックをかけさせていません。」
「だから、簡単に見ることができたでしょう?」

K先生が電源を切らせていなかったことは失敗でした。

また、勝手にロックがかかっているだろうと思ったのも失敗です。

K先生がモンスターペアレントにスマホを返すと、モンスターペアレントはこう言います。

「やっぱり、電源が入っている!」
「子どもの個人情報を盗んだんですね!」

K先生がいくら無実を訴えても、モンスターペアレントは信じてくれません。

8.モンペに教頭と学年主任が謝罪

「見ている事」を証明するのも難しいですが、「見ていない事」を証明するのはもっと難しい事です。

私が相談室に呼ばれたのはモンスターペアレントが学校に来てから30分が経った頃です。

どうやら、スマホを子どもから預かってから職員室に戻るまでに、K先生がスマホを操作していないことを証言するために呼ばれたようです。

私はK先生の無実を訴えますが、モンスターペアレントは聞く耳を持ちません。

最終的には教頭と学年主任が謝罪をすることで、モンスターペアレントは帰っていったようです。

もちろん、不要物であるスマホを学校に持ってきたことをモンスターペアレントが謝ることはありませんでした。

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