いじめ被害者に「どうしてほしい?」と聞いても・・

発達障害のせい?親の子育てのせい?

1.自分の支援や指導を反省しない教師達

学校や学年を「荒れ」に導いたり、クラスを「学級崩壊」にしてしまう先生達には共通点があります。

それは、自分の「支援」や「指導」「対応」を振り返らず、次のように言う(思う)ところです。

「前の学校では上手くできた!」
「このクラス(学年)には悪い子が多い!」
「(発達障害を)持ってる子ばかりだ!」
「教師の言うことを聞かないのは親の育て方が悪いからだ!」
「愛情不足の親ばかりだ!」など

※ 不登校の子供に対しても同様に考える傾向があります。

学年が「荒れた状態」になっていたり、クラスが「学級崩壊」になっていたりすると、毎日の出勤がツラくなるのは仕方のないことです。

当然、自分の「指導」や「支援」「対応」が悪かったと思いたくない気持ちは分かります。

だからといって、次のように思い込んでしまってよいのでしょうか?

「悪いのは子供(親)だ!」
「自分は悪くない!」

2.「いじめ被害者」に「どうしてほしい?」と聞く教師

このような先生達はクラスで「いじめ」が起きたとき、どのような対応をするのでしょう?

子供たちから、「いじめ」があったと報告を受けた先生は被害者に確認をします。

「どうしてほしい?」

当然ですが、被害者の子供は「いじめ」が酷くなるのを恐れています。

「何もしなくて大丈夫です。」
「○○くん達(加害者)を注意しなくていいです。」

本心では「いじめがなくなって欲しい」と思っていても、先生を信用できず・・・。

なぜ、「いじめ」の被害者が「本気」で「注意をしなくていいと言っている」と思ってしまうのでしょうか?

3.「被害者の意志」を尊重して何もしない教師

被害者の言葉に対して、「反省しない先生達」は次のように考えます。

『被害者が何もしなくていいと言っているんだ!』
『子供の意志を尊重して見守ろう!』
『何かあったら自分から相談をしてくるだろう!』
『そのときは、どうしたいか聞こう!』
『とりあえず、様子を見てみよう!』

※ 様子を見ると言っても、休み時間などに教室を見に行く先生はいません。

当然ですが、「いじめ」は解決することはなく、被害者の子供が「我慢」をするか、我慢が限界に達して「不登校」になるかのどちらかです。

それでも、「反省しない教師達」は次のように考えます。

「私は被害者の意志を尊重した!」
「だから、自分は悪くない!」

4.加害者が「いじめたつもりはない」と言うと

中途半端に対応する先生もいます。

子供たちから「いじめ」があったと報告を受けた先生は「加害者」に確認をします。

すると、加害者は次のように言うのです。

「いじめたつもりはありません。」
「○○さんの悪口を言っていません。」
「もしかしたら、○○さんが勘違いしているのではないですか?」
「本当に言っていません。」
「先生は私たちを疑うんですか?」

加害者の言葉を信じた(信じたい)先生は、被害者の子供に次のように言います。

「××さんは悪口は言っていないって!」
「もしかしたら、○○さんの勘違いかもよ!」
「思い込み過ぎない方がいいよ!」
「周りの事を気にしすぎなのでは?」

5.被害者が「いじめ」られていると思い込んでいる?

先生に「思い込み過ぎ」と言われて、次に「いじめ」が起きたときに相談が出来るでしょうか?

「先生に相談しても・・・。」
「どうせ、思い込みって言われるんだろうな・・・。」
「気にしすぎ、自意識過剰って言われるんだろうな・・・。」
「勘違いって言われて終わるんだろうな・・・。」

当然ですが、「いじめ」は続いています。

「毎日、コッチを向いてヒソヒソ話をされる・・・。」
「大きな声で悪口を言ってくる・・・。」
「すれ違う時、ニヤニヤ笑って指を指してくる・・・。」
「コレが思い込みって言うの?」

それでも、「反省しない教師達」は次のように考えます。

「被害者の子供が『いじめ』られていると思い込んでいる!」
「だから、自分は悪くない!」

6.被害者に問題があると思っている教師

最初から、「いじめ」の被害者にも問題があると決めつけている先生もいます。

ただ、被害者に対して「あなたに問題がある」とは言えません。

そのため。子供たちから「いじめ」があったと報告を受けた先生は「被害者」の話を聞くだけです。

「そうか~。」
「それはツラかったね~。」
「でも、難しく考えなくていいんじゃないかな?」
「××さんも悪気はないと思うよ!」
「気にしないようにしようね!」

被害者に問題があると思っている先生は、加害者の子供に話を聞いたりしません。

当然ですが、「いじめ」や「悪口」は解決しません。

ただ、その都度、その都度、先生は被害者の話を聞いてはくれますが・・・。

7.ごまかし、ごまかして卒業するまで待つ?

もし、本当に被害者に問題があると思っているのであれば、その問題点を被害者に伝える事が必要でしょう。

そして、その問題点を改善するための支援(指導)をしなくてはなりません。

しかし、子供に対して「注意」をしたり、「問題提起」をしたりする先生は多くありません。

なぜなら、「注意」や「問題提起」した後の支援やフォローが面倒だからです。

当然、「いじめ」は解決しませんが、担任をしている間は、ごまかし、ごまかして「いじめ」をうやむやにして終わらせるのです。

最終的に、被害者の子供が「我慢」をして卒業するか、「不登校」になってしまうかのどちらかです。

それでも、「反省しない教師達」は次のように考えます。

「被害者の子供に『いじめ』られる理由があるんだ!」
「だから、自分は悪くない!」

8.不登校を子供の心の問題にする教師

このような先生達はクラスの子供が「不登校」になってしまったとき、どのような対応をするのでしょう?

クラスの子供が「不登校」になってしまうと、「反省しない教師達」は理由を聞かず(考えず)次のような対応をします。

「ムリして学校に来なくてもいいからね~。」
「好きな事をして心のエネルギーを溜めようね~。」
「勉強や宿題もしなくていいからね~。」
「来たいときに学校に来ればいいからね~。」

不登校の原因の多くがクラスの「人間関係」や「いじめ」「無視」などです。

※ 登校意欲が下がったり、欠席が増えたりすることで「勉強」への「やる気」も無くなってしまいます。

このような理由で「不登校」になってしまった子供たちが「家で好きな事」をすると、「不登校」が解決するのでしょうか?

自分から登校を再開するようになるのでしょうか?

9.親が子供を信じて「待つ」事が大切だ?

当然ですが、子供たちの「不登校」は解決しません。

反対に「ゲーム依存」や「スマホ依存」になったり、「昼夜逆転生活」になったりします。

親子関係が悪化し、親に暴言を吐いたり、暴力を振るったりする子供もいます。

困った親御さんが先生に相談をしても・・・。

「登校刺激を与えるのはやめましょう。」
「ムリをさせないようにしましょう。」
「子どもの意志を尊重しましょう。」
「好きな事をして心のエネルギーを回復しましょう。」
「自分から動き出すまで待ちましょう。」

当然ですが、子供の「不登校」は解決するどころか悪化してしまうのです。

それでも、「反省しない教師達」は次のように考えます。

「親が子供を信じて待たないのが悪い!」
「だから、自分は悪くない!」

10.おしゃべりを続ける子供をどうする?

このような先生達は「注意をしてもおしゃべりを続ける子供(発達障害の子供)」に対して、どのような対応をするのでしょう?

クラスの子供が「おしゃべり」を始めた頃、「反省をしない教師達」は当たり障りのない声かけを行います。

「○○く~ん。」
「静かにしましょうね~。」

しかし、その子供は少しは静かにするものの、スグにおしゃべりを再開します。

これに対して先生は、同じように声をかけます。

「○○く~ん。」
「静かにしましょうね~。」

このようなやりとりが、毎日の授業の中で何回も行われるのです。

11.発達障害だから注意を聞けない?

注意しても「おしゃべり」や「出歩き」をやめない子供に対して、先生達は次のように考えます。

「あの子には日本語が通じない!」
「あれは、(発達障害を)持っている子だ!」
「だから、何度、注意しても言うことを聞かないんだ!」

この時点で「発達障害」を疑うのは悪いことではありません。

親御さんに「発達障害」の可能性を伝えて検査をしてもらえば、授業改善の参考になるからです。

しかし、多くの先生たちは親御さんに対して「発達障害」の可能性を伝えません。

その理由は簡単で、親に対して「発達障害の疑い」を伝えるのを嫌がっている(クレームを恐れている)からです。

12.やっぱり発達障害だったんだ?

そんな先生達は親御さんに対してスクールカウンセラーとの「面談」を勧めます。

これは、「発達障害」の可能性を伝えるよりも、クレームにつながりにくいからです。

もちろん、スクールカウンセラーは「心理」や「発達障害」の専門家ですから、先生達がスクールカウンセラーとの「面談」を勧めるのは正しい対応です。

しかし、スクーカンセラーとの面談後、親御さんが病院を受診し「発達障害」の診断を受けると・・・。

「やっぱり、あの子は発達障害だったんだ!」
「持ってると思ったんだよね~!」
「だから、話を理解できずに出歩きを繰り返すんだ!」
「特別支援級に行けばいいのに!」
「通常級での授業はムリでしょ!」

このように、「反省をしない教師達」は子供が診断を受けたことで、自分の対応や支援が間違っていなかったことを喜ぶのです。

13.診断が出ても個別の支援をしない教師

本来は子供の発達障害が分かった時点で、その子供(発達障害)に合った支援を検討し、実行するのが先生達の仕事です。

しかし、病院の先生やカウンセラーさんが、その子供(発達障害)に合った支援を提案しても・・・。

「そんな事は出来るはずがない!」
「医者やカウンセラーは現場を分かっていない!」
「個別の支援を受けたいのなら支援級に行けばいい!」
「通常級で個別の支援はムリ!」

※ 特別支援学級にも「反省しない教師」はいるので気をつけて下さい。

結局、親御さんに病院での検査を勧めたのは「反省しない教師達」が次のように安心したかったからです。

「あの子が授業中にしゃべったり、出歩いたりするのは発達障害のせいだ!」
「だから、自分は悪くない!」

14.子供や親のせいにするのをやめませんか?

このように、「責任転嫁」をすることを心理学では「原因の外在化」や「防衛機制」といいます。

これは、人間であれば誰しもが持っている特性と言ってよいでしょう。

しかし、子供の問題行動を「原因の外在化」や「防衛機制」を盾にして、「子供」や「親」のせいにしてよいのでしょうか?

先生達の中には次のように仰る先生がいます。

「もう、小学生なんだから○○は出来て当然でしょう!」
「中学生にもなって□□が出来ないのはおかしいのではないでしょうか?」
「高校生ですので△△ができないと社会に出てから困ると思います!」

先生方が仰る事は全くもって「正しい意見」だと思います。

しかし、その子供たちは「小学生」になっても、「中学生」になっても、「高校生」になっても、○○や□□や△△が出来ないのです。

それなら、「社会に出て困らない」ように、○○や□□や△△が出来るように支援をしませんか?

「だから、自分は悪くない!」

この考え方をやめて、次のように考えていただけませんか?

「私は子供のために何ができる?」

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荒れている学校の先生を信用しちゃダメ!

普通の基準がおかしくなっている教師達

1.その思い込みは偏見?それとも事実?

あまり良くない事かもしれませんが、生徒指導主事を長く続ける事で、私は次のような「思い込み(?)」を持つようになってしまいました。

「C市とD市の先生は信用できない!」
「この2つの市から来た先生は要注意だ!」

また、次のような「思い込み」も持つようになっていました。

「新規採用がC市とD市の先生は危険だ!」
「教師としての基準がおかしくなっている!」

ただ、C市とD市出身の先生の中には、「飛び抜けて優秀な先生」がいるのも事実です。

もちろん、私がこのような「思い込み」を持つようになったのには理由があります。

2.問題行動は親や土地柄のせい?

C市とD市の中学校は常に「荒れ」ています。

これをC市とD市の土地柄と考える先生は少なくありません。

確かにC市には大きな「ショッピングモール」や「ゲームセンター」など、子供たちが遊ぶ場所がたくさんあります。

「C市には遊ぶところが多いから、子供たちが勉強しない!」
「親が夜遅くまで子供を連れて遊び回っているんだ!」
「だから、子供たちに一般常識がなく学級崩壊するんだ!」

また、D市には「海」があり「漁業関係の仕事」をしている親御さんや「飲食(主に飲み屋)」で働いている親御さんも少なくありません。

「漁師の仕事は朝が早い!」
「そのため子供達の生活が安定しない!」
「当然、心が安定せず学校で問題行動を起こす!」
「親が夜の仕事だから、子供も夜になると出歩く!」
「深夜徘徊したり、外泊したりして問題を起こす!」

学校の「荒れ」や「学級崩壊」は親や地域のせいではなく、教師の問題なのですが・・・。

※ 地域によって親の考え方や基礎学力に差があるのは事実です。

3.自分は悪くないと考える教師

C市やD市の先生は「荒れ」や「学級崩壊」の原因を「子供」や「親」「土地柄」のせいにしたがります。

「学級崩壊したのは子供たちが悪いんだ!」
「親がシッカリと躾をしていないからだ!」
「ここは水商売をしている親が多いから、問題を起こす子供も多いんだ!」
「だから、昔から荒れてるんだ!」

そして、次のように考えたりもします。

「前の学校では学級崩壊しなかった!」
「私のやり方が悪いわけじゃないんだ!」
「このクラスは誰がやっても学級崩壊するはずだ!」
「私が悪いわけじゃないんだ!」

学校や学年の「荒れ」や「学級崩壊」の原因が「自分の力量不足」と思っていない先生たちが「学級経営(学級運営)」や「学年運営」についての勉強をするのでしょうか?

自分の「学級経営(学級運営)と」や「学年運営」を見直すのでしょうか?

4.荒れている状態を普通と思うように

さらに怖い事は「昔から荒れている学校」の場合、多くの先生が同じように考えて仕事をしているということです。

これには「人事異動」が大きく関わっています。

例えば、C市に勤務している先生は、基本的にC市の学校をぐるぐると異動していきます。

C市にある中学校の1つが悪い場合は、それほど問題はないのですが・・・。

C市とD市の中学校のほとんどが、「荒れ」もしくは「荒れに近い」状態の学校です。

そのため、C市やD市の「学年主任」や「生徒指導主事」の「基準」も・・・・。

これによって、先生達の間で「自分たちは悪くない」という傷のなめ合いが起こるのです。

5.基準がおかしくなってしまう先生達

C市やD市に長く勤務している先生たちの「基準」は一般的な先生達の「基準」とズレてしまっています。

例えば、授業中に寝ている生徒がいたとします。

一般的な「基準」では子供に声をかけ、寝ないように注意するでしょう。

熱心な先生は「自分の教え方が悪い」と反省し、子供たちが眠くならないように授業研究をします。

しかし、「荒れた学校」や「学級崩壊」をしている学校の先生は次のように言います。

「昨日は疲れたんだろうね!」
「親子関係に問題があるから仕方ないな!」
「○○さんもガンバっているしな!」
「周りに迷惑をかけてないから注意しなくていいでしょ!」
「眠ることでスッキリしてくれればいいかな!」

本音は「注意」をしてトラブルになることを恐れているだけなのですが・・・。

子供の気持ちに「寄り添う」という言葉を盾に注意をしません。

6.カラカいを注意せずいじめに発展!

同様に「休み時間に友達をカラカっている子供達」がいたとします。

当然ですが「カラカい」は注意をしなくてはなりません。

小さな「カラカい」が発展して、大きな「いじめ」となることも少なくないからです。

熱心な先生は「カラカい」をした理由を子供達から聞いたり、それ以降、「カラカい」が起こらないように対応をするでしょう。

しかし、「荒れた学校」や「学級崩壊」をしている学校の先生は次のように言います。

「お互いにカラカいあってるダケだよ!」
「こうやって社会性が育っていくんだよ!」
「いじめではないから注意をしなくてもいいでしょ!」

※ このような先生達の考える「いじめ」は、相手を殴ったり、集団無視をしたりする状態です。

そもそも、「荒れた学校」や「学級崩壊」をしている学校の先生は、授業以外は「職員室」で過ごすようにしているため、休み時間の「カラカい」に気づくことはありません。

7.授業中のおしゃべりを注意しない理由

授業中の「居眠り」や休み時間の「カラカい」以外にも、様々な場面で自分の対応を正当化します。

「宿題を出さない子供は後で後悔するだろう!」
「高校受験で痛い目に遭うだろう!」

宿題の未提出やテストの点数を正しく評価し「1」や「2」を付ければよいのですが・・・。

このように言う先生たちは、親や子供からのクレームを恐れ、評価の付け方がとても甘く「2」となる子供が数人で、ほとんどの子供が「3」~「5」となります。

授業中の「おしゃべり」について、次のように言っている先生もいました。

「私は子供たちの声やつぶやきを大切にしています!」
「授業を聞いて、自分の思った事を発信できるようにしたいんです!」
「だから、子供たちの自発的な発言を注意することはしません!」

私が校長から命令されて授業を見たときに、子供たちが話していたのは「ゲーム」の話だったのですが・・・。

8.職員室では子供の悪口が・・・

C市やD市の先生達は、学校や学年の「荒れ」や「学級崩壊」が酷くなってきたり、保護者や地域から苦情が来ると態度を一変させます。

「子供の言いなりになる親が悪いんだ!」
「親が躾をしないからこうなるんだ!」
「理解力のない子供たちばかりだから、話をしても意味がない!」
「(発達障害を)持っている子供たちが多いからな!」
「善悪の判断が出来ないんだよ!」など

それまで、「子供に寄り添う」や「子供を信じる」と言っていたのに・・・。

ただ、態度が一変するのは職員室の中だけです。

もちろん、保護者や地域の方たちには次のように言います。

「スグに子供たちに話をしたいと思います。」
「同じような事が起こらないように声をかけていきます。」
「今後も何かありましたら教えて下さい。」
「スグに対応させていただきます。」

当然ですが、子供たちを注意したり、呼び出したりすることはありません。

9.圧倒的にレベルの高い先生もいるけど・・・

もちろん、C市やD市にも素晴らしい先生がいます。

その素晴らしい先生達は圧倒的なレベルの先生です。

私が勤務した感覚ですが、C市やD市の学校が「ギリギリの状態」で持ちこたえているのは、その先生達の力ではないかと思っています。

もちろん、その先生達と一緒に仕事をしたときは学ぶことがたくさんありました。

学級掲示や教室環境に始まり、自主性の育成方法、学級の人間関係、行事などへの積極性などなど。

ただ、この先生達はC市やD市では、それほど認められてもいませんし、尊敬されてもいません。

なぜなら、他の先生達から次のように思われているからです。

「職員会議で多くの提案をしてくる。」

『○○をして子供の自主性を高めましょう!』
『□□が大切だから全員でやりましょう!』
『△△が出来ていないので、出来るようにしましょう!』

「忙しいのに、そんな事は出来る訳がない!」
「余計な仕事を増やさないで欲しい!」
「子供たちは普通だから、余計な事は必要ない!」

C市やD市の「普通」は、他市の「普通」と違うのですが・・・。

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「学級崩壊」の予兆にベテランが気付いても・・

自分の指導力に自信を持っている担任は・・・

1.職員室の机配置は学年ごと

どの学校でも職員室の机配置は各学年の先生が集まるようになっています。

そして、1番前には校長、教頭、教務主任(主幹教諭)の机が並んでいます。

そこから、1年部教員の机、2年部教員の机、3年部教員の机が並んでいきます。

※ 1年部教員の机が並んでいる場所を「1年部の島」、2年部教員の机が並んでいる場所を「2年部の島」、3年部教員の机が並んでいる場所を「3年部の島」と呼んでいました。

A中学校に勤務して2年目になっていた私は「生徒指導主事」と「2年副主任」「2年担任」を兼務していました。

職員室の席は職員室の真ん中後方で「3年部の島」に近い場所です。

後の出入り口に最も近い場所で先生達がイヤがる場所でした。

2.あるクラスの異変に気づいたベテラン教諭

ある日の朝の事です。

全体の「打ち合わせ」が終わった後、それぞれの学年が「打ち合わせ」を始めます。 

すると、3年部の島から「ベテラン教師」の声が聞こえてきます。

「3年A組の様子が気になるんです。」
「おしゃべりが増えてきてるんです。」
「さりげなく内容を聞いてみると、性的な会話や悪口が聞こえてくるんです。」
「ハッキリは聞き取れなかったんですが・・・。」

どうやら、ベテランの先生が「3年A組のチョットした変化」に気づいたようです。

「AさんとBさんとCさんが特に心配なんです。」
「優しく注意すると返事はするのですが・・・。」
「すぐにおしゃべりを再開して、再度、注意をすると・・・。」
「謝ってはくるんですが・・・。」
「態度や表情からは全く反省の色が見えなくて・・・。」

ベテランの先生は最後に次のように仰っていました。

「昔、私のクラスが学級崩壊したときに似ているんです・・・。」
「だから、少し心配になったダケなんですけど・・・。」

3.「私のクラスは学級崩壊しません!」という担任

これに対して3年A組の担任は次のように言っていました。

「大丈夫です!」
「AとBとCの事は分かっています。」
「特にAは親が放任なので家庭生活も学校生活も落ち着かないんです。」
「BとCは頭が悪いので授業に集中できないだけです!」
「また、バカなのでAと一緒になると調子に乗ってしまうんです。」
「でも、悪気はないので大丈夫です。」

※ 子供を「バカ」と呼ぶ事に違和感を感じました。

さらには次のような発言が聞こえてきます。

「心配して下さって、ありがとうございます。」
「ただ、自分のクラスの事は全て把握しています!」
「先生のようにクラスが学級崩壊することはありません!」
「私の授業はしっかりとやっていますし。」
「心配して下さるのは嬉しいのですが・・・。」
「大丈夫ですので心配しないで下さい!」

このように言われてしまったベテランの先生は、次のように仰いました。

「申し訳ありません。」
「私の杞憂だったようです。」

4.自分の指導力に自信を持っている担任

3年A組の担任は勝山先生という中堅の女性教員です。

そんな勝山先生に対して、私は次のような印象を持っています。

「プライドが高い先生だ!」
「確かに指導案(授業案)を作る力はあるけど・・・。」

勝山先生が教員研修で中心授業をやったときの話です。

確かに、研究授業のために作成した指導案(授業案)は、とても素晴らしいものでした。

しかし、指導案(授業案)のような反応をクラスの子供たちがしたかというと・・・。

授業中、子供たちは常に「つまらない」という表情を浮かべていました。

中心授業後の授業研究会では、勝山先生は先手を打って「子供たちの反応が悪かった理由」を最初に力説します。

「前の授業が体育で疲れ切っていた。」
「数日前から体調が悪い子供が増えている。」
「先生達の見学により子供たちは緊張していた。」
「繊細な子供が多いため、普段の力を発揮できなかった。」
「いつもなら、もっと快活に授業を受けている。」など

これにより、他の先生から「子供たちの反応の悪さ」について指摘されることを回避したのです。

ちなみに勝山先生は地域の「教科責任者」をしていました。

ただし、教員の数が少ない教科の担当ですが・・・。

5.ベテランの見る目や勘は正しい!

ベテランの先生は各クラスの副担任をしている優しい女性の先生です。

「以前、クラスを学級崩壊させてしまった。」

このように自分で仰る先生で、学級経営(学級運営)についても、教科指導についても謙虚な先生でした。

私は自分のクラスが「学級崩壊」してしまったことはありませんが、「生徒指導主事」として様々な「学級崩壊」クラスの支援をしてきました。

また、教員時代(カウンセラーとなってから)も「学級崩壊」クラスの保護者の相談をたくさん受けています。

これらの経験から、私は3年A組が「学級崩壊」してしまう可能性が高いと感じました。

6.学級崩壊した過去を振り返るベテラン

私は放課後にベテランの先生から「3年A組」の話を聞くことにしました。

「先生の言っている事は正しいと思います。」
「学級崩壊の最初って『小さいルール破り』から始まるんです!」
「そこで、担任が毅然とした態度で接する事が出来れば学級崩壊しないのですが・・・。」
「ほとんどの場合、『注意するほどじゃないか』と判断して・・・。」
「その結果、子供たちが安易にルールを破るようになって・・・。」

これに対してベテランの先生は、自分の失敗談を踏まえて話をして下さいました。

「そうなんです。」
「私は注意をすることを躊躇ったんです。」
「子供達に嫌われたくなくて・・・。」
「そうしたら、ルールを破る子供が増えていって・・・。」
「最初に注意をしなかった事で、その後の注意がしづらくなって・・・。」
「気がついた時には誰も私の話を聞かなくなっていました。」
「もちろん、注意をしても聞く耳を持ってくれません。」

また、ベテランの先生は次のようにも話してくれました。

「今でも、真面目な子供達に申し訳ない気持ちでいっぱいです。」
「特に学級委員だった子供達には、謝っても謝りきれないと思っています。」

そして、最後に担任の先生について次のように仰っていました。

「勝山先生はシッカリした先生です。」
「お言葉どおり大丈夫なのだと思います。」
「余計な事を言ってしまったと思っています。」

7.保護者から苦情や相談が寄せられ始める

そこから3ヶ月後。

ベテランの先生が心配していた通り3年A組が「荒れ」始めます。

具体的には授業中に「おしゃべりする子供」や「居眠りする子供」が増えたのです。

担当している先生たちの話しだけでなく、数人の保護者からも相談が寄せられ始めます。

それでも、勝山先生は次のように言い続けていました。

「クラスの子供のことは分かっているので大丈夫です!」
「私の授業の時はシッカリやっています。」
※ 勝山先生の授業は週に1~2時間しかないのですが・・・。
「AやB、Cが悪い意味の中心になっているのは分かっています。」
「コチラで対応していますので大丈夫です。」
「学級崩壊する事はないので気にしないで下さい。!」

8.担任に「いじめ」の相談をしたら・・・

校長は勝山先生の言葉を信じ学年部に対応を一任します。

しかし、そこから1ヶ月も経たないうちに、3年A組の子供の保護者がスクールカウンセラーさんに「いじめ」の相談をしました。

「娘が『いじめ』られている。」
「それが原因で不登校になってしまった。」
「学校に行くとA、B、Cから悪口を言われる。」

『何で学校に来てるの?』
『ウザいんだけど。』
『学校に来てもいいけど、私たちの視界に入らないで!』
『泣いてるの?』
『チョー受けるんですけど・・・。』など

「勝山先生に相談をしたのですが・・・。」

『A、B、Cは「いじめたつもりはない」と言っています。』
『実際、あの子たちに悪気はなかったと思います。』
『何も考えずに言っているんだと思います。』
『娘さんが気にしすぎているのではないでしょうか?』

9.加害者の言葉を信じる(?)担任

校長は生徒指導主事の私に「保護者対応」「いじめの被害者対応」「いじめの加害者対応」を命令します。

私はスグに「お母さん」と「娘」さんに「いじめ」の実態について聞きました。

「悪気がない訳ありません!」
「直接、悪口を言われたんです!」
「それまで、何度もコッチを見てヒソヒソ話をしていたんですよ!」
「聞こえる声で『ウザいよね~』と言われたことがあります。」
「主語はありませんでしたが、私を見て言ってました!」
「後で言い訳をするために、名前を言わなかったんだと思います。」

さらに担任の勝山先生については、次のように言っていました。

「勝山先生に相談をしても・・・。」
「A、B、Cに騙される(?)ことは分かっていました。」
「いつも、勝山先生は次のように言っているからです。」

『先生はみんなの事を信じてるからね!』

「どうして、勝山先生はA,B、Cを信じて、私は信じてくれないのでしょう?」
「だから、言っても無駄だとお母さんに言ったんです。」

10.先生は私達を疑うんですか?(加害者)

私は「いじめ加害者」であるA,B、Cの指導を行います。

ただ、私に対しても、A,B、Cは次のように言っていました。

「いじめたつもりはありませ~ん!」
「○○さんが勘違いしているんじゃないですか~。」
「もし、○○さんが悪口だと思ったなら、それは間違っていま~す。」

私が「ウザいよね~」の言葉について聞くと・・・。

「○○さんに言ったわけじゃありませ~ん。」
「その場のノリで言ったダケなので誰に言ったか覚えていませ~ん。」

私が疑って見せると、A、B、Cは予想どおりの返答をします。

「先生は私たちを疑うんですか~?」
「生徒の言葉を疑うんですか~?」
「ショックで学校を休んでしまいそうです~。」
「教師が生徒の言葉を信じなくていいんですか~。」

11.加害者の言葉を信じる?それとも・・・

私はA、B、Cに対して、次のような指導を行いました。

「そっか~。」
「いじめたつもりはないんだね~。」
「○○さんに『ウザい』と言ってないんだね~。」
「分かった!」
「その言葉を信じるね!」

3人は「してやったり」という顔をします。

「ただ、『ウザい』とかは誰に対しても使ってはダメな言葉だよね~。」
「だから2度と学校で使わないでね!」
「後、次からは『いじめたつもりはない』場合でも『いじめ』と認定するからね!」
「実は相手が『いじめ』と思ったら『いじめ』認定をしていいんだ!」
「それで、裁判をした親子もいるんだよ!」
「先生は3人が裁判を起こされて、何百万も払うのを見ていられない!」
「だから、今のうちに注意をしておくね!」

A、B、Cの3人は「えっ?」という顔をしています。

「もう1回、伝えておくね!」
「次からは相手が『いじめ』と言ったら、理由や気持ちは一切きかないからね!」
「スグに親を呼ぶ対応を取るからね!」
「もちろん、今回の事も親に伝えておくからね!」

12.「いじめ」が再発しないようにする支援!

それから、毎日、私はA、B、Cに声をかけるために、定期的に3年A組の教室に行きました。

監視の意味もありますが、それ以上に「良い状態を継続」するためでもあります。

「今日は悪い言葉は使ってない?」
「お~。」
「ちゃんと意識をしてるんだね!」
「3人はシッカリしてるね~!」
「これなら、もう誰かにイヤな思いをさせることはないね!」

実際、3人の「悪い態度」は日に日に少なくなっていきました。

私は最初の2週間は毎日、その後の2週間は2日に1回、その後の2週間は週に1回と声をかけ続けていきました。

当然ですが、私の確認が入るため3人は「悪い態度」をとらないようにします。

ただ、途中からは私に「褒められる事」や「話す事」が楽しくなってきたようです。

実際、指導をしてから2週間が経った頃、私と3人は好きな「歌い手」さんの話で盛り上がっていたのですから。

13.えっ?出世して教育委員会に異動?

クラスの「いじめ」や「学級崩壊」が改善した後も、勝山先生は次のように言っていました。

「クラスの子供の事は分かっていました。」
「特にAとBとCの事は分かっていました。」
「3人とも悪気はないので大丈夫だと思っていました。」
「授業ではシッカリとやっていましたし!」
「私のクラスが学級崩壊するはずがないんです!」
「○○さんも『いじめ』られていないと分かったのでしょう。」
「私は子供の事を信じていました!」
「それが子供たちに伝わったんだと思います。」

良いのか悪いのか勝山先生は「前向きな」先生だと言う事が分かりました。

翌年、勝山先生は他の学校に異動となり、さらに数年後には「○○教科の指導主事」として教育委員会へ異動となります。(出世です!)

まあ、得意な指導案(授業案)の書き方を教える仕事に就けたので、良かったのではないでしょうか?

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「いじめ加害者」にも寄り添え?優しく話せ?

担任を馬鹿にする1軍女子たち

1.他学年の先生からいじめの相談が!

A中学校で生徒指導主事をしているとき、他学年の担任(若い男性の先生)から「いじめ」と「学級運営」について相談をされたことがあります。

「恥ずかしい話ですが、クラスの中に指示を全く聞かない子がいるんです。」
「女の子3人組でいわゆる1軍と呼ばれている子たちです。」

若い男性の先生ということで「女子指導」が苦手なようです。

「その子たちが大人しいAさんの悪口を言っているんです。」

『A、キモいんだけど~。』
『ちょ~受けるんですけど~。笑』
『そんなことも分からないの~。』
『ダサ~。』など

これは完全に「いじめ」と言ってよい事例です。これを担任が放置してしまうと「いじめ」が悪化するだけでなく、学級に「悪口」や「汚い言葉」が蔓延し、最終的には「学級崩壊」の可能性も高くなってしまいます。

2.注意する教師をバカにするいじめ加害者

「3人が悪口を言うたびに、僕は強く叱っています。」

『そんな失礼発言はやめなさい!』
『言われた相手の気持ちを考えなさい!』
『これは、いじめ案件になるからね!』
『もう2度と言わないようにしなさい!』
『次に言ったら許さないぞ!』

この担任には「指導技術」はないかも知れませんが、「いじめを許さない!」と言う熱い気持ちがあることが分かりました。

「でも、・・・・。」
「女子3人組は指導を全く聞かないんです・・・。」
「それどころか、私をバカにしてきて・・・。」

『なに本気になってるの~。笑』
『今どき熱血教師とか流行らないんですけど~。笑』
『受けるんですけど~。笑』
『生徒の前だからってカッコつけない下さ~い。笑』
『そういうの、ちょ~ウザいですよ~。笑』

3.いじめの加害者と信頼関係を作るのが優先?

「学年主任に相談をしたんですが・・・。」

『女子3人組にバカにされているのは信頼関係が出来ていないからです。』
『信頼関係ができていないのに叱っても意味がないんです。』
『まずは信頼関係を作ることを考えた方がよいでしょう。』
『もちろん、信頼関係が出来たからといって、叱るのは良くありません。』
『3人組の心に落ちるように説諭することが大切です。』
『そうすれば、自然とクラスで悪口やいじめはなくなっていくでしょう。』

学年主任の言うように、子供たちとの信頼関係が出来て、子供を叱らなくても「悪口」や「いじめ」がなくなることが理想でしょう。

ただ、私はいつも、このように仰る先生方に次のような質問をしたいと考えています。(質問をしたこともあります。)

「信頼関係が出来るまでの間、『いじめ』や『悪口』はなくなるの?」
「いじめの被害者には『担任と加害者の信頼関係ができるまで我慢しろ』と言うの?」
「そもそも、信頼関係はどれくらいで出来るの?」
「もし、信頼関係を作るのに1年以上かかったら?」
「やっぱり、いじめの被害者が1年以上、我慢し続けないといけないの?」

ちなみにこの時の学年主任は渡壁先生です。

※ 私の書籍「学校の裏話シーリズ」にたびたび登場する先生でもあります。

4.いじめや不登校、問題行動を多発させる主任!

この学年主任とは同じ学校に勤務したことが2回ほどあります。幸いにも(?)私はこの学年主任と同じ学年になったことがありません。

ただ、この学年主任の学年は、毎年、「問題行動」「不登校」「いじめ」の全てが多い学年となっていました。

そのため、他学年の所属ではあっても生徒指導主事を兼任していた私は何度も問題行動の後始末をさせられたのです。

それでも、この学年主任の教育的価値観や対応が変わることはありませんでした。

問題行動を起こす子供たちに対して、常に「優しく」「叱らず」「信じる」対応をとっていたのです。

学年の子供たちが「いじめ」や「暴力」「悪口」などの問題行動を起こしたとき、この学年主任の台詞は決まっています。

「あの子たちにも良い所があるから。」
「心の中では悪いと思っているから。」
「人間は失敗する生き物だから。」
「優しく見守ってあげることが大切だ!」

5.裏では問題行動を発達障害や親のせいにしている!

しかし、ほとんどの子供たちは問題行動を繰り返します。すると、この学年主任は次のように言うようになるのです。

「先生の学年は良い子が多くていいよね~。」
(逆説的に自分の学年は悪い子が多いと言いたいようです。)
「うちの学年は子供の言いなりになる親が多いからな~。」
「あの子は家庭環境が複雑だから仕方ないよ!」
「理解力がない子たちばかりだから何をしても変わらない。」
「(発達障害を)持っている子供たちばかりだからな~。」など

自分の対応が「間違っている」とは思わず、「いじめ」や「暴力」「悪口」などの問題行動を「親のしつけ」や「子供の特性」のせいにするのです。

もちろん、子供たちや保護者には常に笑顔で接する先生ですので、「問題行動を起こす生徒」や「いじめの加害者」「その親」たちからは絶大な信頼を得ているのです。

ただ、悪口を言わない「真面目な子」や「いじめの被害者」たちからは、信頼されていませんでした。

6.主任は加害者を怒るなと言うけど・・・

話を元に戻したいと思います。

担任は私と同じような不安を持っていました。

「女子3人組との信頼関係を作るのは賛成です。」
「正直、信頼関係を作る自信はありませんが・・・。」
「僕が悩んでいるのは3人組との信頼関係が出来るまでのAへの対応です。」
「怒っても、注意しても、女子3人組の悪口やカラカイはなくならないと思います。」
「主任からは、叱ったり、注意をしないように言われているのですが・・・。」
「僕が話しかけると女子3人組は・・・・。」

『はい、はい、分かってま~す!』
『用事があるので帰りま~す!』
『悪気はなかったんで~す!』
『気をつけま~す!』

「真面目な話をしようとすると逃げてしまいます。」

担任は最後に次のような質問をしました。

「僕はどうすればいいのでしょうか?」

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いじめ被害者の為に加害者に指導を続けた結果・・

「いじめ」は無くならなかったけど味方が!

1.被害者を守るために加害者に強い指導をしちゃダメ?

私は理想論者でもありますが、現実主義者でもあります。

学年主任の言うとおり「信頼関係」を作ることが大切だと思っていますし、「怒る」や「叱る」ではなく「説諭」によって、子供たちが行動を変えてくれることを望んでいます。

反面、現実主義者でもあるため、次のようなことも同時に考えています。

「子供たちと信頼関係を作るためには何をすればいい?」
「信頼関係を作るために、一緒に遊んだり、話したり、聞いたり、褒めたりが必要だ!」
「最初が肝心だから1学期にエンカウンターや人間関係スキルの授業を多くしよう!」
「元気な子は話かけてくるから、その時に趣味の話などをしよう!」
「おとなしい子はコチラから話かけて関係を作ろう!」
「クラスの全員と良い関係ができるようにガンバろう!」

また、現実主義者であるゆえ、「いじめ」や「暴力」「暴言」などの問題行動にもスグに行動を起こします。

「いじめの被害者を守る事が最優先だ!」
「悪口や無視などのいじめ行為はその場で強く注意しよう!」
「それにより、加害者との人間関係が悪くなっても仕方ない!」
「被害者が我慢をするのは間違っている!」
「加害者が暴言や暴力、無視などを我慢すればいい!」
「注意をしても変わらないのであれば、保護者や警察に相談をしよう!」
「もちろん、加害者との人間関係を再構築するための努力は続ける!」

2.最も優先すべきは被害者の人権!

私は学年主任とは違うアドバイスをします。

「最も優先すべきは被害者であるAさんの心です。」
「悪口を言うのは止められなくても注意や指導は続けよう!」
「女子3人組に注意や指導を続けることでAさんと先生の信頼関係は深まります。」

『先生は私の味方だ!』
『3人組の悪口をいつも注意してくれる!』

「もし、ここで3人組への注意を止めてしまったら、どうなると思う?」
「Aさんは先生から『見捨てられた』と思うだろうね。」
「さらに、クラスの子たちは次のように考えるんじゃないかな?」

『先生はAさんを見捨てて3人組をとった!』
『私が悪口を言われても先生は3人組を注意してくれないだろう。』
『この先生には何を言ってもダメだ!』
『それなら、3人組に嫌われないようにしなきゃ!』
『3人組に目を付けられないようにしよう。』

3.被害者を守り続けるとクラスの子が

「逆に女子3人組の悪口や態度を注意し続けたらどうなる?」
「もちろん、3人組からは嫌われて信頼関係は作れないよね!」

『担任がうるさいんだけど!』
『あいつ、ちょ~ウザいよね!』
『でも、無視し続ければいいんじゃね?』
『口ばっかで何も出来ないし!』
『あんなやつの言うことを聞かなくてもいいっしょ!笑』

「3人組との人間関係は絶望的になるかもしれないけど・・・。」
「Aさんやクラスの子との信頼関係は?」

『悪口を言うのは良くないよね。』
『でも、私は3人組が怖くて注意ができない・・・。』
『代わりに先生がいつも注意してくれて助かる!』
『先生は私たちの味方で常に3人と戦ってくれる!』
『私たちは3人組のように悪口は言ったり、いじめをしたりしない!』
『先生が言ってることが絶対に正しいと思う!』

「ここまで考えたら先生がすべき対応は1つしかないよね!」
「もちろん、女子3人組もクラスの一員だから、関係を作ることは諦めないでね!」

4.クラスの全員が先生と被害者の味方に!

いじめを許せないと考えていた担任は、私のアドバイスを受け入れ、女子3人組への注意や強い指導を続けます。

同時に女子3人組との人間関係修復にも積極的にチャレンジしていました。

しかし、「悪口」や「暴言」を続ける女子3人組は担任から、毎日、注意をされます。そのため、担任が声をかけても、日記で話かけても、素っ気ない返事しか返ってきません。

それでも、担任は「注意」と「声かけ」の両方を続けました。担任は理想の結果を求めてガンバったのです。

「いじめは絶対に許さない!」
「悪口や暴言は常に注意をする!」
「クラスの仲間を大切にしなさい!」

担任の言葉と行動によって、クラスの子供たちが動き始めます。具体的には次のような行動が自然発生したそうです。

・学級委員などのリーダーが3人組を注意するようになる。
・同じように思っていた子供たちも勇気を出して注意をするようになる。
・Aさんに声をかけたり、励ましたりする子が増える。
・3人組のワガママが通らなくなる。など

5.一緒に悪口を言わないとバカにされる

クラスの子供たちが女子3人組に正当な注意をするようになると、他の付和雷同組の行動も良い方に流れていきます。

※ 付和雷同組の子:教師やクラスの様子を見て、良くも悪くも振る舞う子たち

当然ですが、担任や仲間からの注意を聞かず、反省しない女子3人組はクラスで浮く存在となってしまいました。

ここで自分の行動を振り返り反省をすれば良かったのですが・・・。3人という人数が悪い方向にでてしまったようです。

3人組の1人が「悪口を言わないようにする」と残りの2人が煽ってきます。

「なに良い子ぶってんの!」
「あんたも本音を言ったほうがいいよ!」
「あいつ、ウザいって言ってたじゃん!」など

1人がグループから抜けようとしても、悪口を止めようとしても、他の2人がそれを煽ったり、バカにしたりします。

それによりプライドを捨てきれない1人の子はグループから抜け出せなくなるのです。

※ 1年後にこのグループの1人と話す機会があったので、当時のことを聞くと「後に引けない」「仲間にバカにされたくない」などの気持ちが捨てきれなかったと言っていました。また、3人とも同じような思いを持っていたようであるとも言っていました。

6.悪口を言われても気にならなくなった!

女子3人組はAさんダケでなく他の大人しい子の悪口を言い続けました。

「A、キモイ!」
「Bって、オタクだよね~。笑」
「何が楽しくて生きてるの~。笑」
「なんで、Cが同じ班なの~。」
「話かけないで欲しいんですけど~。」など

しかし、この頃になると悪口を言われている子供たちは、辛い思いをしなくなりました。なぜなら、3人組が悪口を言うたびクラスの仲間が守ってくれるからです。

「失礼な発言はしないでよ!」
「何でそんなこと言うの!」
「○○さんに失礼でしょ!」
「いい加減、悪口を言うのは止めたら!」など

7.加害者との信頼関係は築けず終わる

クラスが終わる3月。

担任から「お礼」と「報告」「反省」の言葉がありました。

「先生に相談をして、やっぱり注意や強い指導を続けることにしました。」
「しかし、女子3人組の態度は変わりませんでした。」

『なに、向きになってんの?』
『ちょ~、受けるんですけど~。笑』
『熱血教師なんて流行らないし~。笑』
『カッコつけない方がいいですよ~。』など

「それでも私は注意や指導を続けることにしました。」
「自分にもっと力があれば、3人組とも良い関係を作れたと思うのですが・・・。」
「仲良く、楽しく、話すことができたと思うのですが・・・。」

8.家で登校しぶりをしていたのは知らなかった

「あるときから、学級委員の子が一緒に注意をしてくれるようになりました。」
「それに釣られて(?)他の子たちも3人組を注意するようになります。」
「大人しい子たちはAさんに声をかけてくれるようになりました。」
「もちろん、私もAさんに声をかけ続けました。」

『3人組の悪口を止められなくてゴメンね!』
『でも、ずっと注意はし続けるからね!』
『先生はAさんの味方だからね!』

「少しずつAさんの笑顔が増えていきました。」
「親御さんからは『登校しぶり』がなくなったとき聞きました。」
「正直、Aさんが『登校しぶり』をしていたと知らなかったので驚きました。」

予想どおりAさんは我慢をしていたのです。

もし、担任が女子3人組への注意を止めていたら・・・。信頼関係を作るという言葉を盾に優しく諭していたら・・・。

Aさんは完全に不登校になっていたでしょう。当然、クラスの子供たちも担任への信頼をなくし・・・・。

9.クラス替えでバラバラにされた3人組

最後に担任は次のような「反省」を口にしました。

「先生の言っていた通り、女子3人組も私のクラスの子供です。」
「だから、もっと仲良くしたかった・・・・。」
「もっと上手に人間関係を作りたかった・・・。」
「来年からは、クラスの人間関係づくりや信頼関係づくりに力を入れたいと思います。」
「これからも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。」

ちなみに、女子3人組は「その後」どうなったのでしょうか?

担任への「反抗」やクラスでの「暴言」「悪口」「いじめ」により、3人組は学年の先生たちから目を付けられていました。

当然、次の学年になるとき3人全員が別々のクラスになります。また、それぞれの担任はベテランであったり、生徒指導部であったりしました。

これにより、3人は新しいクラスで「悪口」や「いじめ」「反抗」することなく、良い方向で活躍してくれたそうです。

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