不良がカラーリーダーになると迷惑だから廃止したい?

不良がリーダーになるのを止められない担任

1.体育祭のカラーリーダー廃止の提案

A中学校に赴任した年の9月。

職員会議で3年部の教員から次のような要望がありました。

「カラーリーダーの制度を廃止しませんか?」
「ヤンチャ(不良)の子供達がカラーリーダーをやりたがって困るんです。」
「下級生にも悪い影響を及ぼしますし・・・・。」
「カラーリーダーを廃止し、学級委員を体育祭のリーダーとしてはどうでしょう?」

A中学校では体育祭を行う前に、3年生から「カラーリーダー」を選ぶという伝統がありました。

カラーリーダーとは各カラーの代表となり、「カラー種目」の「練習計画」を考え、指示を出したり、準備をしたりするのが仕事です。

当然ですが、カラーリーダーになれるのは3年生で男女1人ずつです。

「青組!」
「気合いれろー!」
「絶対に優勝するぞー!」

『オー!』

このような檄を飛ばすのもカラーリーダーの仕事です。

そのため、元気のある子(ヤンチャな子)がカラーリーダーをやりたがる傾向にありました。

2.目立ちたいだけで計画性のないリーダー達

職員会議の話を聞いていると、この学校の「カラーリーダー」がどのようなものか分かってきました。

・ヤンチャな子供(不良系の子供)がカラーリーダーをやりたがる。
・その子供たちは「練習計画」を立てることができない。
・事前に準備をしたり、考えたりせず、その場の思いつきで行動する。
・計画や進行が悪いにも関わらず指示だけは「エラそう」に出す。
・校則違反の服装(シャツだし、腰パン)で練習を行う。
・同じカラーの下級生が、校則違反の服装を真似する。など

3年部の教員が「カラーリーダー廃止」の提案をすると、他の先生たちが口々に意見を言い出します。

「去年の赤組のリーダーはひどかったよね!」
「計画は立てないし、準備はしないし!」
「練習が始まってから練習内容を決めるんだよね!」など

すると、去年の3年担任が次のように言いました。

「自分で立候補したんですよ!」
「そのクセ、面倒な事はやらないんです!」
「後輩が自分の思い通りに動かないと怒るんですよね~。」
「エラそうに指示ダケは出すんですよね~。」
「あの子は本当に口ばっかりでした!」

3.子供の問題ではなく担任の決意の問題!

聞こえてくる声に「イラッ」とした私は、次のような発言をしてしまいました。

「システムの問題じゃないと思います!」
「担任がどれだけ支援するかの問題ではないですか?」

これに対して司会の先生は次のように質問をしてきます。

「それは、どういう意味ですか?」
「詳しく説明をして下さい。」

私は思ったことを正直に言ってしまいます。

「私の前任校にもカラーリーダーはありました。」
「この学校と同様で『ヤンチャな子供達』が立候補します。」
「ただ、私はその子供たちがリーダをする事に反対はしません。」
「やる気を持つことが大切だと思っているからです。」

そして、次のようにも言ってしまいます。

「私は『ヤンチャな子供達』にリーダーとしての心構えを伝えました。」
「そして、事前の計画や準備は必須であると言います。」
「シッカリと覚悟を持たせてからリーダーをやらせたのです。」
「もちろん、事前に計画や準備の相談を受けたり、確認をしたりしました。」
「要は教師の覚悟や支援の問題だと思うのですが?」

『自分から立候補したのだから、良いリーダーとなれるように支援をしよう!』
『立派なカラーリーダとなれるようにフォローしよう!』など

4.不良の子供たちの言いなりになってしまう教員

私の意見を聞いた先生達はヒソヒソ話を始めます。

「そうは言ってもね~。」
「立候補制にすると真面目な子供が立候補できないしね~。」
「不良の子供は自分勝手で言うこと聞かないし~。」

私に聞こえるか聞こえないかの声で、次のように言う先生もいました。

「西川先生が前にいた学校は落ち着いていたんでしょうね~。」
「この学校の子供たちのレベルを分かってないんだよ!」
「3年生がどれだけ悪いか知らないんだ!」
「子供たちの状態を知らないくせにエラそうに言わないでほしいよね~。」など

私は前任校の「荒れ」を改善させた人間の1人です。

また、「荒れている学校」に異動させられ、「生徒指導主事」と「3年担任」をさせられたこともあります。

多くの「荒れ」を経験している私にしてみると、A中学校の3年生は「カワイイ」部類ではあるのですが・・・。

5.学年の男女ボスがカラーリーダーに立候補!

赴任してスグの先生が「荒れている学年」の「担任」や「教科担任」となるのは、「学級崩壊あるある(荒れた学校あるある)」の1つです。

実際、私も赴任してスグの学校で「最も荒れている3年生の担任」をしたことがあります。

さらに言うと、私が「生徒指導主事」として赴任することが分かっていた学年主任(?)は、「男子学年ボス」と「女子学年ボス」の2人を私のクラスにしていました。

当然ですが、その2人は体育祭のカラーリーダーに立候補して選ばれます。

ただ、私はカラーリーダーに決まった2人に対し次のような話をしました。

「やるからには、下級生の見本となるリーダーになってもらう!」
「後輩がお前たち2人を目標にする位のリーダーになりなさい!」
「もちろん、そのために服装もしっかりとしてもらう!」
「練習計画も事前に立ててもらう。(最初はチェックしていました)」
「そして、当日は全体の前で堂々と指示を出してもらう!」

当然ですが、次のようにも伝えます。

「やる気のない態度を見せたら1~2年生の前でも怒鳴る!」
「服装が乱れていたときも同様だ!」
「それがイヤなら、カラーリーダーを辞退してくれ!」」
「もちろん、本気でやる気持ちがあるなら、先生も全力で協力する!」
「コピーや印刷、必要な物の準備などの雑用もする!」

6.カリスマ性が良い方向に向くように!

この2人は、前年にそれぞれのクラスを「学級崩壊」に導いたボスでした。

ただ、良くも悪くも「カリスマ性」や「リーダーシップ」「負けず嫌いの気持ち」を持っています。

そんな彼らは、私の言葉をきっかけに「カラーリーダー」に本気で向き合うようになりました。

2人で事前に練習計画を立て、私に確認や相談を繰り返します。

お互いの役割分担も決めて、それに従って仲間や下級生に指示を出していました。

これにより、この2人は「良い意味」で下級生から尊敬される存在になったのです。

7.成功体験により学業の集中力が高まる!

体育祭で「カラーリーダー」の役割を見事に務めた2人は、自分に自信を持つようになります。

その自信は他の学校生活にも表れてきます。

放課後に練習計画を一緒に考えたことがキッカケとなり、2人は「放課後勉強会」をするようになりました。

そんな2人は勉強会で分からない問題があると、スグに私の所に聞きに来るようになっていました。

これにより、それまでは普通に授業を受けていたダケの2人でしたが、挙手や発表を積極的に行えるようになったのです。

※ 1~2年の時は授業中に寝たり、出歩いたり、別の事をしたりしていたそうですが、3年生の4月からは普通に授業を受けるようになりました。

その結果、男子学級崩壊ボスは「内申点」が6つも上がり(元々がオール2でしたが)、女子学級崩壊ボスは「内申点」が4つも上がったのです。

8.カラーリーダー廃止に3年生が怒ると

職員会議では「3年部の意向を尊重する」ということで、「カラーリーダー」の制度は廃止となりました。

しかし、廃止を知った3年生からは、次のような声がたくさん上がったようです。

「何で今年はカラーリーダーがないの?」
「カラーリーダーをやるつもりだったのに!」
「おかしくない?」
「ふざけるな!」など

ただ、これに対して3年部の先生は、次のように説明をします。

「職員会議で決まった事だから仕方ないよ。」
「本当はカラーリーダーの制度は残したかったんだけどね~。」
「先生達が話し合って決めた事だからね~。」
「決まったことを変えることは出来ないんだよ~。」

3年部か「廃止案」を提出して、それが認められた形なのですが・・・。

反対したのは、私と数人の先生だけだったのですが・・・。

9.カラーリーダーになるために○○になった不良少年

その後はどうなったのでしょう?

翌年の3年生には「カラーリーダー」をやりたいがために、前期学級委員になった「ヤンチャな子供」がいました。

担任の先生達は、まさか「ヤンチャな子供」が学級委員に立候補するとは思っていなかったようです。

そして、学級委員になった「ヤンチャな子供達」は学級委員の仕事を中途半端に行います。

これに困ったのは新3年部の先生達です。

その結果、翌年の職員会議では3年部の先生から、次のような提案が出されます。

「カラーリーダーを学級委員が兼務するのは良くないと思います。」
「そこで、今年はカラーリーダー制を復活させたいと思います。」
「次のようにしてもいいでしょうか?」

『多くの子供にリーダーの経験をさせたい。』
『そのため、学級委員はカラーリーダーになることはできない。』
『ただし、委員長や生徒会の生徒は除くものとする。

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異動してスグの先生が3年担任にされる理由は?

問題行動を注意できない先生達

1.悪い評判を聞いたことがない小規模校へ転勤!

ある年、私はB市の西中学校に生徒指導主事として勤務することになりました。

西中学校は「各学年2クラス(1クラス30人)」で「全校生徒が約180人」の学校です。

前任校が「全校生徒約600人」の学校でしたので、着任式で全校生徒を見た私は次のように感じました。

「生徒が少なっ!」
「前の学校の学年集会より少ないじゃん!」

同時に次のような気持ちにもなりました。

「この学校の悪い評判は聞いたことがないよな!」
「他の学校とケンカしたり、町で暴れたりしたという情報もない!」
「生徒数も少なくトラブルもない!」
「何て良い学校に勤務したんだ!」
「やったー!」

2.免許外申請をして他教科も教える事に!

私の担当は「生徒指導主事」と「1年担任」「教科主任」です。

1学年2クラスで全校6クラスの場合、5教科の先生はそれぞれ「2人ずつ」必要となります。

ただ、全校生徒数の関係で、5教科の教員が「2人ずつ」勤務することはほとんどありません。

この西中学校も同様でした。

それでは、授業の割り振りはどのようになるのでしょうか?

西中学校の場合は、私が「自分の教科」+「他の教科」を受け持つことになっていました。

もちろん、授業をする場合は「免許外申請」を教育委員会に行い、許可を得る必要があります。

※ 免許外申請が却下されることはありません。

3.誰がどの教科を担当するのか決めるのは誰?

最初の職員会議では次のような提案がされていました。

・私(1年担任):1年生2クラス、2年生(免許外)2クラス、道徳、学活、総合
・長谷部先生(2年主任):2年生2クラス、3年生2クラス、総合

しかし、長谷部先生は職員会議で次のように発言します。

「担当授業は教科部会(2人)で検討していいですか?」
「検討の結果、担当授業を変えてもいいですか?」

これに対して教務主任が次のように言います。

「校長、教頭、教務で検討して決めた事ですので・・・。」
「基本はこのままでお願いしたいのですが・・・。」

しかし、長谷部主任は引き下がりません。

「お願いしたいということは、変えても良いということですね!」
「教科部会で相談させて下さい。」

4.俺の代わりに3年生の担当になって!

教科部会で長谷部先生は次のように仰いました。

「西川先生!」
「3年生の授業をやってくれないかな?」
「先生は中堅だから3年生の授業を何度もしたことあるでしょ?」
「だから、3年生をやっても問題はないでしょ?」
「俺は2年主任だから少しでも2年生と一緒にいたいんだよね!」

さらに長谷部先生は次のように仰います。

「西川先生は教科外を教えたことある?」
「えっ?」
「教科外の授業は始めて?」
「それじゃあ、授業の準備とか大変だよね~。」
「俺は何度かやってるからスグにでも教科外授業ができるよ!」

そして、最後に次のように仰いました。

「西川先生は生徒指導主事で大変だから、少しでも負担を減らしてあげたいんだ!」
「俺が2年生の教科外授業をやってあげるよ!」
「1年生と3年生の授業の方が楽(らく)でしょ!」

5.何で3年生を嫌がってるの?

長谷部先生が「3年生と関わりたくない」と思っている事が分かった私は、次のように応えます。

「気を使っていただき、ありがとうございます。」
「私は2年生でも3年生でも問題ありません。」
「長谷部先生のお考え通りにして下さって結構です!」

しかし、私の心の中には次のような考えが浮かんでいました。

『長谷部先生は3年生をイヤがっている。』
『ということは・・・・。』
『もしかして、3年生が荒れているパターン?』
『でも、悪いウワサは聞いたことないしな~。』
『とはいえ、これだけ長谷部先生がイヤがっているということは・・・?』
『ん~ん?』
『まっ、授業が始まれば分かるかっ!』

当然ですが、長谷部先生は大喜びです。

「いや~、西川先生、ありがとう!」
「今度、一緒に飲みに行こうね!」
「オレが奢るからさ!」
「いや~、本当に良かったよ~!」
「これで、今年もガンバレルよ~。」

6.荒れている学年は異動してきた先生に任せよう?

校長、教頭、教務は、同じ先生が「同じ学年で2教科」を教える状態にしたくなかったのでしょう。

また、3年の教科を他の学校から「赴任してスグの教員」が行うのではなく、「以前から勤務している」教員に任せたかったのでしょう。

3年生の親の立場で考えても、「知らない教員」がいきなり担当になるより、少しでも「知っている教員」が担当になった方が安心です。

ただ、3年生が「荒れている学校」では話が変わってきます。

他の学校から「赴任してきてスグの教員」が担任となったり、教科を担当したりすることは珍しくありません。

これは、「以前から勤務している教員」が「新学期の希望調査」で「荒れている学年」を希望しないからです。

※ 地域や校長によっては「新学期の希望調査(担当学年や部活顧問の希望)」を実施しません。

7.パワハラと言われないようにする校長

本来であれば「学級崩壊クラス」や「荒れている生徒」は、その学年で持ち上がっている先生が担当するのが当たり前でしょう。

しかし、「荒れている学校」の先生たちは、校長に自分の気持ちを正直に伝えます。

「私は○○さんや□□くん(問題児)の担任はしたくありません!」
「子育てがあるので、不登校の子供を私のクラスに入れないで下さい!」
「△△(問題児)と私は相性が悪いので別のクラスにして下さい!」など

このような希望を聞いてしまった校長や教頭、学年主任はどうするのでしょう?

先生達の希望を無視して、「荒れている学年」の担任をやらせるのでしょうか?

嫌がる先生達に「荒れている学年」の教科を担当させるのでしょうか?

当然ですが「パワハラ」を恐れている校長や教頭、学年主任が、苦情がでそうな校務分掌を計画する訳がありません。

その結果、他の学校から「異動してスグの先生」を荒れている学年の「担任」にしたり、「担当」にしたりするのです。

8.学校の中では調子に乗れちゃう子供達

新学期が始まります。

授業や学校生活で3年生を見た私は、次のように感じていました。

「全体的に真面目な子が多いな!」
「でも、一部の子供たちは・・・。」

そうは言っても次のような印象も持っています。

「一部の問題児も注意をすると素直に聞く?!」
「全く反抗してこない?!」
「あ~、そうか~。」
「学校の中では調子に乗っちゃうタイプだ~。」
「だから、生徒指導主事の研修や警察との連絡会議などで情報が出て来ないんだ!」

ただ、同時に次のような事も感じていました。

「何で先生たちは注意をしないの?」
「3年部の先生は見て見ぬ振りをしている。」
「完全にナメられちゃってるな~。」

9.3年生に「筋の通った対応」をしたら?

私は毅然とした態度で3年生の授業に臨みます。

忘れ物をしたときは注意し、ガンバっている時は褒める。

提出物も期限を破ったり、適当にやったりしていた時は注意する。

素直に謝ったり、丁寧にやったりしていた時は褒める。

私は教師として「当たり前」の事を子供たちに伝え、それが出来なければ支援をしたり、注意をしたりします。

もちろん、「当たり前」の事を「当たり前」に出来たときは、それを「当たり前」と思わず褒めて認めます。

元々、それほど大きな問題を起こす子供たちではなかったため、私が注意をするとスグに反省し、同じミスをしないように努力してくれました。

10.学校のルールを破った服装で部活練習

3年生は部活でも「小さな問題」を起こしてくれました。

赴任して初めての部活練習では、3年生が次のような「小さな問題」を起こします。

・レギュラー2人が禁止されているブレスレットやネックレスをしている。

※ プロの選手が腕や首に付けているものです。

私はスグに注意をします。

すると3年生は次のように言ってきます。

「コレをしていると力が出るんです!」
「練習に集中が出来るんです!」
「前の顧問の先生からは注意をされていません!」

前顧問はブレスレットやネックレスを「認めた」ではなく「注意をしなかった」ようです。

※ 子供たちとトラブルになる事を恐れていたそうです。

11.毅然とした態度で注意をすると・・

私は子供たちに次のように伝えます。

「大会や試合でブレスレットを付けるのは禁止だよね!」
「プロの選手はしているかもしれないけど、中学生や高校生の大会では禁止だよ!」
「もちろん自主練習の時に使うのは問題ないよ!」
「ただ、学校の練習では認められないな!」

私は長年の生徒指導主事の経験から、子供たちが反論してくると考えていました。

『大会で使えなくても力が出るんです!』
『練習に集中できれば、大会で良い結果を出せるんです!』
『ガンバって勝ちたいと思っているのにジャマをするんですか?』
『僕たちのやる気をなくそうと言うんですか!』など

事前に副顧問から聞いていた話しでは、そこまで熱心に練習はしていないとの事です。

走る練習や筋トレなどの辛い練習は適当に行い、実践練習や紅白戦など楽しい練習は熱心に参加するタイプのようです。

私は彼らの完全に論破してやろうと思っていたのですが・・・。

注意をされた彼らはスグに謝罪の言葉を口にしてくれました。

「ルールを破ってすみませんでした。」
「もう2度としません。」
「許して下さい。」

12.悪いことを注意できない教師達

3年生の中にはスグに調子にのってしまう子供がいます。

しかし、その子供に「当たり前」の事を伝えるとスグに行動を改めてくれます。

ただ、生徒指導部会では次のような「3年生の問題行動」が報告されていました。

・授業中に堂々と寝ている。
→注意をするとスグに起きて授業に取り組む。

・休み時間に漫画を読んでいる。
→授業中には読むことはない。

・部活の練習中にしゃべっている。
→部活をサボって町に行くことはない。

申し訳ありませんが、これらは「3年生」の問題ではなく「3年部の先生達」の問題です。

私は生徒指導主事として、職員会議で次のように伝え続けました。

「子供たちが授業中にしゃべったり、出歩いたり、寝たりしたときは注意をしましょう!」「マンガやスマホなど、不要物を持ってきているときも指導をしましょう!」
「部活練習にも積極的に参加できるように声をかけましょう!」
「何も注意しないと問題行動が悪化し、教師を無視するようになるんです!」

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修学旅行の夜に男子が女子の部屋に・・その時の教師の対応は?

深夜の王様ゲームを「仲が良い」で済ませる主任

1.問題行動を注意をすると素直に謝る子供達

ある年、私はB市の西中学校に生徒指導主事として赴任をします。

B市への異動希望を出していた私でしたが、配属された学校は希望に反し西中学校でした。

西中学校には「荒れている」という噂はありません。

そんな西中に勤務を始めると、新3年生の中に問題行動をする子供達がいる事が分かりました。

しかし、教師が「筋の通った注意」をすると、子供達は素直に謝ったり、従ったりします。

ただ、私の中に「不安に思う気持ち」がなかった訳ではありません。

なぜなら、新3年生の学年主任は「元気のある子」や「その保護者」から人気のある渡壁主任だったからです。

私は教員生活25年のうち、8年ほど渡壁主任と同じ学校に勤務しています。

幸い、同じ学年部になったことはないのですが・・・。

生徒指導主事として、教科担任として、渡壁主任の学年には何度も関わってきました。

ただ、申し訳ありませんが、どの学年も・・・・。

2.地域から苦情があっても・・・

私が勤務してスグに地域の方から苦情の電話がありました。

どうやら、新3年生が下校途中に、電話を下さった方が飼っている犬に石を投げていたようです。

私は「地域の方の苦情」を渡壁主任に伝え指導をお願いします。

しかし、それ以降も定期的な「地域の方」や「保護者」「部活の外部コーチ」からの苦情は続きます。

そんな状態を危惧した校長は、生徒指導主事である私に新3年生の「指導」や「注意」を命令します。

仕方なく私は苦情の元である「元気な子供たち」を呼んで指導をします。

その後、学年主任である渡壁先生にも指導内容を伝えるのですが・・・・。

「悪気はないんだよ!」
「心の中では悪いと思っているんだよ!」
「あの子たちにも良い所がたくさんあるんだよ!」
「人間は失敗する生き物なんだよ!」
「優しく見守ってあげることが大切だ!」

3.新3年生になった姉の相談をしてくる母親

3年生が楽しみにしていた修学旅行が終わって少し経った頃、ある保護者が私に会いにきました。

その保護者とは、私が担任をしているクラスの子供のお母さんです。

「先生、○○(私のクラス)の姉Xの事で少し相談があるのですが・・・。」

姉Xは特に真面目なわけでもなく、かといって不真面目でもない女の子です。

友達関係も良好で誰とでも仲良く出来るタイプの女の子です。

ただ、修学旅行で「元気な男子」A,B,Cが起こしたトラブルに巻き込まれてしまったようです。

このトラブルは生徒指導主事の私の耳には入っていません。

『学年の先生達で解決したのかな?』
『教頭、校長は知っているんだろうな。』
『生徒指導主事が入る必要はないって事かな?』

4.修学旅行の夜に男子が女子の部屋へ

お母さんは相談を続けます。

「XはクラスのY、Zと同じ部屋で宿泊することになりました。」

YとZはクラスで「1軍」と言われている元気な女の子です。

「修学旅行の夜の事なのですが・・・。」
「深夜の1時にXが寝ているとドアをノックする音が聞こえたそうです。」
「すると、YとZがスグにドアを開けました。」
「そこには、男子のA、B、Cがいたのです。」
「どうやら、A,B、C、Y、Zは禁止されているスマホを持ってきていたようです。」

『今からソッチの部屋に行くから、ドアを4回ノックしたら開けて!』
『アイツら(先生たち)は11時までしか見回りをしないらしい!』
『さすがに1時ならアイツら全員寝ているから大丈夫!』

AがYに送ったLINEの内容です。

5.生徒が寝ていると思って余計な事を話す主任

実際、3年部の先生たちは11時の見回りを最後に就寝したようです。

※ 夜11時の見回りは後の振り替えにより勤務時間内となりますが、それ以降は勤務時間ではありません。

ただ、渡壁主任は見回りの時に次のようなことを口にしていました。

「ほらっ!」
「みんな、もう、眠ってるよ!」
「何だかんだ言っても子供なんだよ!」
「疲れて寝っちゃってるよ!」
「カワイイ寝顔をしてるね~。」
「見回りはコレが最後でいいでしょ!」
「子供たちが他の部屋に忍び込むことはないでしょ!」
「我々も寝て、明日に備えましょう!」

寝たふりをしていたA,B、Cは、この話を聞き「1時であれば絶対にバレない!」と思ったそうです。

6.深夜3時まで男子が女子の部屋に

深夜の1時に男子3人が部屋に来たことに驚いたのは、何も知らされていなかったXです。

ただ、YやZに男子3人を部屋に入れないように言うことは出来ません。

(YとZはクラスの1軍女子ですので、敵に回したくなかったそうです。)

そこで、Xは寝たふりをします。

「あれ、Xは寝てるの?」
「まっ、いいか!」
「5人で盛り上がろうぜ!」

それから2時間ほど5人は「教師の話」や「親の話」「芸能人の話」などをして盛り上がっていたそうです。

そして、深夜3時頃に男子3人は自分たちの部屋に戻っていったのです。

7.翌日の夜も女子の部屋に来る男子達

翌日。

YとZは部屋に男子3人が来たことをXに言いませんでした。

Xが寝ていると思った2人は、男子3人が部屋に来たことを黙っていようと決めたようです。

しかし、YとZは禁止されている「スマホ」を使い男子3人と連絡をとります。

『昨日の夜は楽しかったね!』
『今日の夜も部屋に来る?』
『分かった!』
『昨日と同じ深夜1時ね!』
『着いたらドアを4回ノックして!』

Xは1日目と同様、12時には布団に入ります。

少ししてウトウトしていると、昨日と同じように部屋のドアが4回ノックされます。

それに反応したYとZがドアを開けると・・・。

「今日も来たぜ!」
「また、5人で盛り上がろうぜ!」

8.修学旅行の夜に王様ゲーム

Xが布団にくるまり寝たふりをしていると、男女5人は話を始めました。

ただ、会話の内容は1日目と違い「好きな人の話」から始まり「性的な話」になったそうです。

「初キッスは?」
「経験ずみ?」
「経験人数は何人?」
「1人でやったりするの?」

興奮した男子が「王様ゲーム」を提案したそうです。

ただ、さすがに修学旅行ということもあり、実際に「キスをする」や「胸を触る」などの行為には発展していなかったようです。

※ Xの証言と5人の証言は一致していました。

9.主任に相談をしたら「いじめ」られる

修学旅行が終わった後、家に帰ったXはお母さんに相談をし、お母さんが生徒指導主事である私に相談をしたのです。

なぜ、担任や渡壁主任に相談しなかったのかを聞くと・・・。

「娘が担任や渡壁主任に相談したくないと言ったんです。」

『3年部の先生に相談したら、私が相談したことがスグにバレる!』
『渡壁主任は私から聞いたって絶対に言う!』
『5人が嘘をついたら、渡壁主任はそれをスグに信じる!』
『多分、その後に私は5人に呼び出される!』
『だから、絶対に学校には言わないで!』

「説得したら西川先生になら相談しても良いと許可をもらいました。」
「どうか、娘からの情報であることはバレないようにして下さい。」

10.校長と対応を検討し実行!

私は最初に校長に相談をしました。

すると、校長は修学旅行で「男子が女子の部屋に行った」報告を受けていないと言います。

ただ、渡壁主任は事件を隠蔽しているわけではなかったようです。

単純に「男子が女子の部屋に行っている事」に気づいていないダケだったのです。

私は「事前にお母さんから聞いた情報」を校長にだけ伝え、校長と一緒に今後の対応方針を決めます。

・情報源は3年部職員にも秘密にする。(知っているのは校長と私のみ)
・Xが情報源と気づかれないように、A,B,C,X,Y,Zの6人から事情を聞く。
(Xも一緒に呼び出すのがポイントです。)
・1、2年の生徒指導部担当が個別に同時進行で話を聞く。
・聞いた情報を元に3年部教員、生徒指導主事、校長、教頭で5人への処分を決める。
・場合によっては保護者を呼び出し厳重注意をする。
(Xの保護者を呼び出すかは、その時の状況によって判断する。)

私は女子のボスであるZから話を聞きました。

ただ、何度か私に指導を受けているZは、私の性格をよく知っているため、次のように思ったようです。

『全てを正直に言った方がいい!』
『後で違う事実が出てきたら、絶対に怒られる!』
『逆に最初から正直に話せば許してもらえる!』

実際、Zは最初から最後まで全てを詳しく話してくれました。

さらには、翌日、LINEのやりとりを印刷してきてくれました。

11.親と子供を呼び出し厳重注意!

男女5人(6人)の話は大筋で一致していました。

(男子の方は嘘を言って何とか罪を軽くしようとしていました。)

この情報を元に「3年部職員」と「生徒指導主事(私)」「校長」「教頭」で事後の対応を検討します。

その結果、校長は次のような対応を3年部に指示しました。

「5人(6人)には厳重注意を行う。」
「罰として反省文を書かせ清掃活動を行わせる。」
「深夜に男女5人(6人)が同じ部屋で4時間過ごしたことは重大な問題である。」
「そこで、5人(6人)の保護者を至急呼び出し事の顛末と今後の対応を伝える。」
「家庭でも強い指導をお願いする。」

渡壁主任は納得いっていないようでしたが「校長の命令」と言うことで、渋々、了承しました。

12.全く反省をしていない5人

3年部が「子供達の指導」と「保護者へ説明」をした2日後。

Xのお母さんから私に連絡があります。

そこでは、次のような話を聞くこととなりました。

「先生!」
「娘の対応を上手にして下さってありがとうございました。」
「6人が呼び出された後、娘は5人から謝られたそうです。」

『Xちゃんゴメンね~!』
『私達がしたことに巻き込んでしまって!』
『寝てただけだから関係ないのにね~。』
『本当にゴメンね~!』

どうやらXが情報源ということはバレていないようです。

「ただ、5人は次のようにも言っていたそうです。」

『誰がチクったんだろう?』
『本当にムカつくよね~!』
『多分、隣の部屋のヤツじゃね?』
『抜け出すときのドアの音やノックで気づいたんじゃね?』
『チクるなんて最低だよな~。』

13.親に謙って学校に来てもらう担任

それぞれの保護者が呼び出されたことについても教えて下さいました。

「一昨日、担任の先生から丁寧な連絡がありました。」

『誠に申し訳ありませんが、明日の18時に学校に来ていただけませんか?』
『修学旅行のトラブルの件について、皆さんにお伝えしたいことがあるんです。』
(男子が深夜に女子の部屋に行った事実が伝えられる。)
『ただ、子供たちは良い子たちなので、変なことはなかったんです。』
『だから、一応、学校での指導の様子と今後についてお伝えしたいんです。』
『はい、30分ほどですので御来校をお願いいたします。』

問題行動を起こした子供の親に対して、そこまで謙(へりくだ)らなくてよいと思うのですが・・・。

14.修学旅行の思い出となる出来事?

保護者への報告会(?)には6人全ての保護者が集まりました。

そこでは、渡壁主任から次のような話があったそうです。

「修学旅行の深夜1時に3人の男子が女子の部屋に遊びに行きました。」
「そのときXさんは寝ていたようで、残りの5人で話をしていたそうです。」
「5人はいつも仲が良いので、その延長で女子の部屋で盛り上がってしまったようです。」
「ただ、男女が深夜に同じ部屋にいるのは良くないことですので注意をしました。」
「子供たちに悪気はなかったようで、スグに反省してくれました。」
「まあ、修学旅行という普段と違う場所で舞い上がってしまったのでしょう。」
「誰にも失敗はありますから気にしないでいいと思います。」

すると、1軍の5人の保護者たちが次のように言ったそうです。

「あの子たちは保育園から一緒だしね~。」
「昔っから、みんな仲がいいよね~。」
「修学旅行で調子に乗っちゃったんでしょうね~。」
「夜に異性の部屋に行くのは修学旅行あるあるですもんね~。」
「5人で楽しく、おしゃべりをしたんでしょうね~。」
「これは、修学旅行の思い出の1つになりますね~。」

15.王様ゲームについて親に伝えない主任

Xさんのお母さんが呆れていると、渡壁主任が同調したそうです。

「そうですよね~。」
「修学旅行で盛り上がって、ついつい、ルールを破っちゃったんでしょうね!」
「まあ、誰にでも間違いや失敗はありますし!」
「5人が仲が良いことは学校でも分かっています!」
「残りの中学生活も仲良く過ごしてほしいですね~。」

渡壁主任と5人の保護者達は楽しそうに話をしています。

それを見たXさんのお母さんは、次のように感じたそうです。

「子も子なら親も親だ!」
「仲が良いと言って、年頃の女子と男子が同じ部屋で過ごすのは・・・。」
「さらには、王様ゲームもしているのに・・・。」
「何で渡壁主任は王様ゲームの話をしないんだろう?」
「性的な話もしているのに・・・。」
「もしかして、本気で子供たちが反省していると思ってるの?」
「娘の言うとおり、渡壁主任に相談をしなくて良かった。」
「もし、渡壁主任に相談をしていたら・・・・。」

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相手のラフプレイに怒鳴った審判を恐れたのは・・

校内問題児の生徒がフェアプレー賞をもらった!

1.学年の先生は指導しなかったけど

修学旅行で問題行動を起こした男子のAとBは、私が顧問をしている部活に在籍していました。

そんな子供たちに対して私は注意を促します。

「どんな理由があってもルールは守りなさい!」

『○○だから許される!』
『□□だから仕方ない!』

「先生はそれを許さないし仕方ないとは思わない!」
「やるべき事をシッカリとやりなさい!」

私の本気を感じたAとBの表情が少し締まったように見えました。

元々、この学校の3年生は悪い子供達ではありません。

3年部の先生達が「間違った支援」や「指導」をしているせいで、子供たちが「調子に乗って」いるダケなのです。

2.大会で活躍できるように練習試合を!

「大会で勝ち上がれるように練習に集中しよう!」
「練習試合をたくさんして試合経験を積もう!」
「県大会出場(地区大会で優勝or準優勝)を目指してガンバろう!」

私は可能な限り「朝練」や「放課後練習」を行い、子供たちの「やる気」に応えます。

もちろん、試合経験を積ませるため多くの「練習試合」も計画しました。

他の学校と「練習試合」をするたびに、子供たちの「態度」や「姿勢」「やる気」が高まっていくのが分かります。

後に3年生から話を聞いたところ・・・。

「練習試合をしたのは始めてだった!」
「1回だけじゃなく何回も練習試合を組んでくれた!」
「自分たちの実力やランクが分かった!」
「少しずつ勝てるようになって楽しくなった!」

どうやら、前顧問は「練習試合」など手間のかかる事はしていなかったようです。

3.夏の大会で3位に!さらに嬉しい言葉が!

私は中体連の組み合わせ抽選会で「良い番号」しか引いたことがありません。

本来はベスト8の実力の子供たちを「くじ運」で準優勝に導いたり、本来は1~2回戦負けのチームを4回戦まで進出させたりしてきました。

この時の中体連でも、私は「くじ運」の強さを発揮します。

結果を先にお伝えすると、実力的には「ベスト8」だった所を組み合わせにより「3位」となれたのです。

もちろん、子供達が練習の成果を発揮できた結果である事は間違いありません。

残念ながら「県大会出場」を逃してしまった子供達ですが、閉会式では指導校長から「試合態度」について嬉しい言葉をいただくこととなります。

4.1回戦はラフファイトと暴言のA中学校

話は中体連の1回戦に戻ります。

1回戦の相手は「荒れている」と評判のA市の北中学校です。

学校が「荒れている」だけあって「ラフファイト」や「暴言」が多い学校です。

対する西中の3年生は、学校内では「調子に乗っている」のですが、外では大きな態度を出せません。

『もしかして、北中学校にビビって力を出し切れない?』
『北中学校の子供が怖くなって戦えない?』
『実力的に負けることはないんだけど・・・。』
『もし、負けるとしたら力を出し切れないパターンだな!』

私は子供たちに声をかけます。

「平常心で試合に臨もう!」
「練習の時のように落ち着いていこう!」
「相手の事は考えず自分のベストを尽くそう!」
「いつもの状態なら負けることはないから大丈夫!」

しかし、子供たちの表情を見ると・・・・。

5.相手の暴言にビビってしまう子供たち

試合が開始してスグに北中学校が「ラフプレイ」を仕掛けてきます。

「お~い!」
「どうしたんだよ~。」
「もっと、来いや~。」
「どんどん、かかって来いや~!」

北中学校の選手が挑発してきます。

これに対して、私の3年生達は・・・。

完全に北中学校の子供達の「ラフプレイ」と「暴言」にビビってしまっています。

しかし、北中学校の「ラフプレイ」や「暴言」に対して、審判の先生が強い指導をしてくれます。

「おいっ、北中!」
「その言葉使いは何だ!」
「ラフプレイも許さん!」
「次にやったときはスグに退場にするからな!」

審判の先生は、地域でも評判の「昔ながらの体育」の先生だったのです。

6.反抗的な態度を審判に強く指導される北中

審判に指導を受けた北中学校の子供たちは「ラフプレイ」や「挑発」をしなくなりました。

しかし、試合中の態度は良いモノではありません。

得点した相手選手を睨んだり、ボールを投げつけたりします。

そんな様子を見ていた審判は、北中学校を指導するタイミングを見計らっていたようです。

そんな中、北中学校の子供がファールをしました。

ただ、その子供は判定に納得がいかなかったようで審判を睨んでいます。

そして、審判に渡すべきボールをあろうことか、審判と逆方向に蹴ってしまったのです。

「何だその態度は!」
「ふざけるな~!」
「顧問もコッチに来い!」

7.怒る審判を恐怖に感じたのは・・・

審判の指導に対して、最も驚き、最も恐怖を感じたのは北中学校の生徒ではありません。

もちろん、北中学校の顧問の先生でもありません。

審判の指導に最も驚き、最も恐怖したのは西中学校の3年生だったのです。

もちろん、この試合において西中学校の3年生は何も悪いことはしていません。

それどころか、北中学校の雰囲気に飲まれないようにガンバっていたのです。

それでも、普段の学校で「3年部の先生達」から怒られた事がない3年生にとって、大きな声で怒鳴る審判は「恐怖の存在」となってしまったようです。

幸いにも、審判を「恐怖」に感じた事はプレーに影響しませんでした。

ただ、相手チームや自分のチームがファールをすると・・・。

審判を恐れている西中学校の3年生は、ダッシュでボールを取りに行き、ダッシュで審判に渡します。

さらには、ボールを審判に渡すとき、頭を下げて大きな声で次のように言うようになっていました。

「ボールを持ってきました!」
「ヨロシクお願いします!」

8.閉会式で拍手喝采を受ける子供たち

無事に1回戦を突破した後も、3年生は「素早いボール拾い」と「丁寧な声かけ」を続けます。

完全に「審判」=「怖い」と勘違いしてしまったようです。

私の「くじ運」もあり、子供たちは順当に勝ち上がっていきました。

ただ、残念ながら準決勝で負けてしまい、県大会出場の目標は達成できませんでした。

※ もしかしたら、ボールを拾いに行くときの無駄なダッシュが原因かもしれません。(笑)

しかし、自分たちのファールの時だけでなく、相手チームのファールの時も「ダッシュでボールを拾い」に行き、審判に「丁寧な声かけ」を行った行動は、顧問の先生達から評価されます。

その結果、準々決勝、準決勝と試合を見て下さった「指導校長」が閉会式でお褒めの言葉を下さったのです。

「C中学校の生徒の試合へ臨む態度は素晴らしかった!」
「相手チームへのリスペクトも感じた!」
「審判への声かけは本当に丁寧だった!」
「県大会出場こそ逃したが、試合に対する姿勢はダントツの優勝だ!」
「これは私だけの考えではない!」
「他の学校の顧問や保護者達も同じ考えだ!」
「みなさん!」
「西中学校の生徒に拍手をお願いします!」

会場中に西中学校の3年生をたたえる拍手が響き渡りました。(笑)

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体育祭の練習会場に学年部の先生がいない?

全てを任せると言う教師!その教師が倉庫に呼び出された!

1.問題行動を注意をすると素直に謝る子供達

ある年、私はB市の西中学校に生徒指導主事として赴任をします。

B市への異動希望を出していた私でしたが、配属された学校は希望に反し西中学校でした。

西中学校には「荒れている」という噂はありません。

そんな西中に勤務を始めると、新3年生の中に問題行動をする子供達がいる事が分かりました。

しかし、教師が「筋の通った注意」をすると、子供達は素直に謝ったり、従ったりします。

ただ、私の中に「不安に思う気持ち」がなかった訳ではありません。

なぜなら、新3年生の学年主任は「元気の良い子」や「その保護者」から人気のある渡壁主任だったからです。

私は教員生活25年のうち、8年ほど渡壁主任と同じ学校に勤務しています。

幸い、同じ学年部になったことはないのですが・・・。

生徒指導主事として、教科担任として、渡壁主任の学年には何度も関わってきました。

ただ、申し訳ありませんが、どの学年も・・・・。

2.問題児のいる3年生の教科担当になった

B市の西中学校は1学年2クラス(約60人)の小規模校です。

そのため、自分の学年以外の授業も行います。

私の配属は「新1年部」で、役職は「担任」と「生徒指導主事」「特別支援教育コーディネーター」です。

受け持ちの授業は、自分の学年である「新1年生」を2クラス、そして、「新3年生」を2クラスでした。

私は自分の学年である「新1年生」の授業を楽しみにしていました。

それと同時に「新3年生」の授業も「違う意味」で楽しみ(?)にしていました。

なぜならば、同じ教科を担当する長谷部先生が、強引に私を「新3年生担当」としたからです。

ただ、「新3年生」に対しては少し不安も感じていました。

なぜなら、「新3年生」の渡壁主任は「元気のある子」や「その保護者」から人気のある先生だったからです。

3.渡壁主任は子供を信じてる?それとも・・・

渡壁主任は私より10才ほど先輩の先生で、何度か「同じ学校」に勤務しています。

ただ、幸いな事(?)に「同じ学年」となったことはありません。

それでも、「学年主任」と「生徒指導主事」という関係上、様々な話をしてきました。

「あの子達に悪気はないんだよ!」
「実は良い所をたくさん持っているんだよ!」
「心の中では悪いと思っているから。」
「人間は失敗する生き物なんだよ!」
「優しく見守ってあげることが大切だ!」など

これらは、渡壁先生が常に口にしていた言葉です。

しかし、自分の学年の子供達が問題行動を続けると・・・・。

「先生の学年は良い子が多くていいよね~。」
(逆説的に自分の学年は悪い子が多いと言いたいようです。)
「子供の言いなりになる親が多いからなら~。」
「家庭環境が複雑だから仕方ないよ!」
「理解力がない子達ばかりだから何をしても変わらない。」
「(発達障害を)持っている子供達ばかりだからな~。」など

4.注意をしないで優しく声をかける先生達

新学期が始まると、「3年部の先生達」の実態が分かってきました。

とにかく、「3年部の先生達」は子供を指導しない(怒らない)のです。

例えば、子供達が授業中に「うるさく」していても全く注意をしません。

あまりにも隣のクラスが「うるさく」していたので、私が注意をしに行くと「3年部の先生」が優しい声で・・・。

「みんな~。」
「隣のクラスが困っているみたいですよ~。」
「もう少し、声を小さくしようね~。」
「静かに問題をやろうね~。」
「ちゃんとしないと西川先生に怒られるよ~。」

本来は「声を小さく」ではなく「やめなさい」と言い、「静かに」ではなく「黙って」が正しい注意なのですが・・・。

私の名前を出さずに、注意をするのが普通なのですが・・・。

5.授業中の私語や出歩きが普通の状態

当然ですが、子供達は中学に入ってから指導されて(怒られて)いないため、教師に対して「反抗的な態度」をとります。

例えば、授業に関係のない話をしていた事を注意すると・・・・。

『何で注意されなきゃいけないの?』
『悪いことなんかしてないじゃん!』
『コイツ、ウザいんだけど!』

このように思っているように見えるほど、露骨に「イヤな顔」をしてきます。

授業に必要な物が後のロッカーにあったり、トイレに行きたくなったりすると、教師の許可を得ず席を達ます。

本来であれば、授業に必要な物は休み時間に準備をして、トイレも済ませておかなければならないのですが・・・。

しかし、ほとんどの3年生はチャイムが鳴るまで「おしゃべり」を続け、チャイムが鳴ってから「ダラダラ」と席についたり、準備をしたりするのです。

もちろん、3年部の先生が怒らなくても、3年生にイヤな顔をされても、私は注意を続けました。

6.3年生のカラーリーダを中心に練習が行われる

西中学校では、2学期に入ってスグに「カラー団結式」と言う式が行われます。

これは、体育祭で同じカラーになる1~3年生の仲間意識を高める式です。

この後、3年生の「カラーリーダー」を中心に「カラー練習」が行われるのです。

同じような仕組み(カラーリーダーなど)は他の学校にもあるでしょう。

ただ、「落ち着いている学校」と「荒れている学校」では、カラーリーダーの「動き」に違いが生じます。

具体的には、「落ち着いている学校」ではカラーリーダーが事前に「団結式」や「カラー練習」の準備をしていることで、式や練習がスムーズに進みます。

対して「荒れている学校」の場合は、カラーリーダが「その場」で式や練習の計画を立てるため、「ムダな時間」や「待つ時間」が増えていきます。

ただ、これはカラーリーダーの責任ではなく、「担任」や「学年部の先生」の責任なのですが・・・。

7.荒れた学校の得意技は「臨機応変(無計画)」

職員会議で配付された資料を見ると、9月の半ばに「団結式」が予定されていました。

体育祭の「団結式」は「3年生」と「3年部の先生」が中心となり行われます。

「私は最後の体育祭で赤組に勝ちたいと思っています。」
「楽しくやればいいではなく、みんなで協力して勝ちたいです!」
「カラーリーダーとして未熟な私は上手に指示を出したりできないかもしれません。」
「でも、勝つために考えたり、準備をしたりしていきます!」
「私は頼りないカラーリーダーです。」
「だから、みんなの協力が必要です!」
「私に全力で付いて来て下さい!」
「絶対に赤組に勝ちましょう!」

※ 上記の会話は、私の学年が3年生のときに「カラーリーダー」が話した内容です。

落ち着いている学校であれば、9月の職員会議で3年部から「団結式」や「カラー練習」の趣旨や予定のプリントが配布されます。

しかし、この年の「3年部の先生達」からは「団結式」や「カラー練習」のプリントは配布されませんでした。

※ 「荒れた学校」には「臨機応変(無計画)」という得意技があります。

8.本当のリーダーに近づいている1年学級委員

1~3年の赤組が集まって行われる「団結式」の日が来ました。

私の学年である1年生と長谷部主任の2年生は「3分前」には体育館に到着し、「1分前」には全員が整列して座っていました。

これは、学級委員達が率先して指示を出しクラスの仲間が従った結果です。

数日前、私が学級委員長に「団結式」の開始時間を伝えると、学級委員長が次のように言ってきました。

「先輩より遅くなるのは失礼ですよね!」
「1分前には体育館に整列して座っていればいいですか?」
「もう少し早いほうがいいかな~?」
「5分前にはクラスに呼びかけてをしなくちゃ!」など

私は「学級委員長」に全てを任せます。

もちろん、クラスの仲間達には次のような声かけをしました。

「学級委員に迷惑をかけるなよ!」
「指示を出されたらスグに従うんだよ!」
「学級委員は裏で色々とガンバっているんだからね!」

9.その場で「団結式」の段取りを考える3年生

5時間目の開始を告げるチャイムがなりました。

1年生と2年生は静かに座って待っています。

本来であれば、チャイムと同時に「3年生のカラーリーダー」が「団結式」について説明をするはずなのですが・・・。

3年生も体育館には来ているのですが・・・・。

静かに待っている1、2年生の横で3年生が大騒ぎをしています。

カラーリーダー達はステージの上で何やら相談をしています。

予想ですが、「団結式」をどのように進めるのかを話し合っているようです。

ただ、体育館に「3年部の先生」が1人もいないため、「団結式」の内容を決めかねている感じです。

10.全てを子供に任せると言って何もしない先生達

チャイムが鳴ってから10分が経った頃、体育館入り口から「担任」と「3年部の先生達(半分)」が入って来ました。

どうやら、「団結式=カラーリーダーに任せる」と考えているようです。

もちろん、「子供達に全てを任せる事で子供達の自主性を高めよう」と考えるのは、悪いことではありません。

しかし、その場合は事前に「準備」や「疑問」「練習内容」「進行」などを、教師とカラーリーダーで検討する必要があるでしょう。

ただ、「3年部の先生達」は子供達の「疑問」を受け付けていないようですし、「準備」や「進行」についての検討もしていないようです。

これでは、やる気を持ってカラーリーダーとなった子供達でも自信をなくしてしまいます。

全てを子供達に任せるにしても、せめて担任は授業開始前にカラーリーダーの子供達の側にいてあげて欲しいものです。

11.予想どおりグダグダに終わった団結式

どのように進行をしていいのか分からない子供達は、10分遅れて登場した担任に確認しながら「団結式」を開始します。

(まずは何をすればいいですか?)

『号令をかけて全体で挨拶をしよう。』

「全員、起立!」
「今から、団結式を始めます。」
「礼!」

(次は何をすればいいですか?)

『それじゃあ、1~2年生にカラーリーダーの意気込みを話して!』

「えっと、カラーリーダーとなった○○です。」
「みんなでガンバって赤組に勝ちましょう!」

この後もズッとカラーリーダーは、担任に「何をするか?」を確認して団結式を進行していきました。

当然ですが、1~2年生の「カラーに対する気持ち」は高まらず、グダグダのまま団結式が終わったのです。

12.1回目のカラー練習を教頭が見に来た!

3日後。

初めてのカラー練習が行われました。

ただ、授業開始前の様子は前回と変わりません。

1分前にはキレイに整列して座って待っている1~2年生に対して、3年生はチャイムが鳴っても「並ばず」「座らず」に騒いでいます。

カラーリーダーも前回と同じように、チャイムが鳴ってから、「カラー練習」の打ち合わせをしています。

当然ですが、3年部の先生は1人もいません。

しかし、今回は「団結式」と違うところがありました。

それは、学校通信にカラー練習の記事を載せるため、教頭が写真を撮りにグランドに来ていたのです。

13.見学に来た教頭はバリバリの生徒指導畑出身

西中学校の教頭先生は女性の先生ですがバリバリの生徒指導畑出身の先生で、数々の伝説を持っている先生でもあります。

※ 実際に私は同じ学校でいくつかの伝説の目撃者となっています。(笑)

子供達の「言葉使い」や「カラカい」「いじめ」などに厳しく、「悪意のある言葉」を子供が使ったときは、その子供に反省の色が見えるまで指導を続ける先生です。

そんな教頭(当時、教員)は「指導主事訪問」で伝説を残します。

※ 「指導主事訪問」とは指導主事(偉い先生)が全ての先生の授業を10分ずつ見て回り、放課後の研修会で授業の感想や改善などの指導をする研修です。

当時、教頭は指導主事訪問で「学級崩壊クラス」の授業をすることになってしまいました。

授業が始まってスグに「クラスの元気な男の子」が「静かな子」のミスをカラカう発言をします。

「あんたっ!」
「今、言った言葉をもう1度、言ってみなさい!」
「それは、完全に○○くんをカラカった発言よね!」
「は~、悪気はなかった?」
「そんなのは関係ないでしょ!」
「悪気がないって言えば許されると思ってるの?」
「私はそんな嘘には騙されないからね!」
「教師をナメるんじゃないよ!」
「そもそもね、あんた達はスグに・・・・・。」

教頭の説教は30分続いたそうです。

途中、指導主事が教室に来た10分間も説教を続けていたのです。

14.騒いでいる3年生を注意しようとする教頭

教頭は「カラー練習」での1~2年生と3年生の様子の違いに驚いていました。

本来は「リーダーとしてガンバっている3年生」の写真を取りに来たのですが・・・。

目の前には、教頭の想像と逆の光景があったのです。

リーダーとして見本になるはずの3年生がおしゃべりを続け、先輩について行くはずの1~2年生が静かに待っている光景です。

生徒指導の血が騒いだのでしょうか?

教頭は3年生を注意しようと歩き出しました。

しかし、教頭という立場を思い出したのでしょう。

一旦、立ち止まって周りの様子を確認します。

どうやら、3年部の先生達に声をかけ「3年生を指導させよう」と思ったようです。

15.教頭が3年部の先生を探すが・・・

ただ、残念な事にグランドには3年部の先生達が1人もいません。

それを悟った教頭は自ら3年生に注意をするためカラーリーダーの所に向かいます。

本当なら、そのまま教頭に「怒ってもらいたかった」のですが・・・・。

さすがに、学校ナンバー2である教頭に3年生を「怒ってもらう」わけにはいきません。

私は生徒指導主事として、教頭より先に注意をします。

「3年生!」
「静かにしなさい!」
「カラーリーダーっ!」
「スグにカラー練習の指示を出しなさい!」

私はそのままカラーリーダーの横に行きカラー練習の「指示だし」を手伝ったのです。

16.教頭が3年部の先生達を倉庫裏へ連れて行く

団結式の時と同様、授業開始10分後に「担任」と「3年部の先生達(半分)」がグランドに登場しました。

ただ、団結式と違い今回はカラーリーダーが練習の指示だしをしています。

(私が横でアドバイスをしているのですが・・・。)

その姿を見た「担任」と「3年部の先生」はご満悦の表情をしています。

しかし、子供たちの後方で様子を見ていた教頭が「3年部の先生達」の所に向かいました。

そして、私に目で合図をして「3年部の先生達」を倉庫の裏で連れていったのです。

私は3年部ではありませんが、カラーリーダーの子供達と一緒にカラー練習を続けます。

練習後の話になりますが、カラーリーダーの子供達は私の所に「次のカラー練習」の相談に来ました。

元々、「やる気」を持ってカラーリーダーとなった子供たちです。

私はカラーリーダーの相談にのり、その後のカラー練習の計画を一緒に立てたのです。

17.3年部の先生達は反省した?対応を変える?

カラー練習の時間が終わっても「3年部の先生達」はグランドに戻ってきませんでした。

どうやら、30分近く教頭に指導されていたようです。

放課後、教頭が私に声をかけてきます。

「カラー練習のときは注意をしてくれてありがとうね!」
「西川先生が怒ってくれて助かったよ!」
「本当は私がおもいっきり3年生を怒りたかったんだけどね!(笑)」

さらに教頭は「3年部の先生達」について話をしました。

「若い先生からは反省の色が見えたんだよね!」
「これからの対応について、次のように言ってたわよ!」

『これからは、子供達より先に体育館に行く!』

「当たり前の事なのにね~。」

18.子供たちを信じて全てを任せた?

ただ、渡壁主任は最後まで理想を口にしていたようです。

『私は子供達の自主性を大切にしています!』
『カラーリーダーの子供達を信じて全てを任せていたんです。』
『教師が見ていない方が自分達のやりたいようにできるでしょう!』
『だから、少し遅れてグランドに向かったんです。』

「理想ばかりで現実を見ていない!」」
「渡壁先生は昔から変わっていないのよ!」
「今のままじゃ、子供たちは自信をなくしてしまうわよ!」
「当然、次からは自分で動かなくなる。」
「リーダーをやる子供が減っていくダケよ!」
「本当に口は達者で、理想を語るのよね~。」
「でも、現実を見ていないから、渡壁先生のクラス(学年)はいつも荒れるのよ!」

どうやら、渡壁主任が担任をしていたクラスは落ち着きがなかったようです。

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子供に良く思われたい教師①悪い事をしても怒らないと・・・

学級崩壊を回避するチョットしたポイント!

1.気づいたら荒れている学校の生徒指導主事になっていた

A市の北中学校は地域で評判の「荒れている学校」です。

学級崩壊しているクラスも多く、その近辺の学校に勤務している先生たちは、誰1人として「勤務を希望しない」学校です。

私は北中学校に「甥っ子」と「姪っ子」がいたため、絶対に北中学校への移動はないと勝手に思い込んでいました。

しかし、気づいたときには、何故か私は北中学校の生徒指導主事となっていたのです。

異動の希望は出していなかったのですが・・・・。

いわゆる「行政異動」というもので、教育委員会や校長の御指名をいただき北中学校に異動することになったのです。

教員も所詮はサラリーマンです。

私は気持ちを切り替え、生徒指導主事として北中学校の「荒れ」や「学級崩壊」を改善するべく、指導や支援を行うことにしました。

2.荒れている学校には共通点がある!

私は多くの「荒れている学校」に勤務して来ました。

そこで、「プロ教師」たちから大切なことをたくさん教えてもらいます。

その経験から、私は「荒れ」について次のような考えをもっています。

「学校の『荒れ』は教師の指導力(支援力)不足!」
「教師の指導(支援)によって子供は良くも悪くもなる!」
「正しい指導や支援を行うことで『荒れ』は解消される!」

そんな私は「荒れている学校」に赴任した時、必ず「学校のルール」をシッカリと確認することにしています。

なぜなら、「荒れている学校」には「非論理的なルール」や「曖昧なルール」が多く存在するからです。

中には「論理的なルール」が存在しているにも関わらず「荒れている学校」もあります。

これは、教師1人ひとりが「個の考え」で指導や支援を行っている事で起こる現象です。

例えば、「服装のルール」があるにも関わらず、教師1人ひとりが「服装のルール」を軽視して、「個」の考えで指導した(しない)とします。

当然、教師によって言っている事が違うため、子供たちは「ルール」を軽視するようになります。

これが、「荒れ」の一歩となるのです。

3.宿題の提出日は夏休み明け2週間後?

私は最初の職員会議で資料の隅から隅まで、じっくり目を通しました。

すると、資料の中に「荒れ」や「学級崩壊」の原因となる可能性の高い「ルール」を複数見つけることができました。

その中の1つが「学習指導部」から提示されていた、次のような「ルール」です。

「長期休業明けの宿題は2週間後までに提出するように促す。」

この文章をおかしいと感じる方は少ないのでしょうか?

自分や自分の子供の夏休み明けのことを思い出して下さい。

夏休みの宿題を「いつ」提出しましたか?

夏休み明け「最初の日」ではありませんでしたか?

4.「宿題を提出しなさい」と言うと不登校が増える?

「長期休業明けの宿題は2週間後までに提出するように促す。」

これは、先生たちの裏目標というべきものです。

「夏休みの宿題をやってこない子が何人かいるだろう!」
「そんな子供に『明日までに出せ!』と言ってもムリだろうな~。」
「でも、2週間もあれば終わらせる事が出来るだろう!」
「夏休み明けの宿題は2週間後までに提出するように促そう!」

また、裏目標について次のように仰る先生もいます。

「宿題を厳しく取り締まると不登校の子が増えてしまう。」
「ムリをさせすぎるのは良くないだろう!」
「子供の気持ちに寄り添い、子供のペースでやらせた方がいい!」
「ノンビリやる位がちょうどいい!」など

宿題を厳しくして不登校になる子供は、それほど多くないのですが・・・。

そもそも、「やって来て!」ではなく「一緒にやろう!」が「寄り添う」だと思うのですが・・・。

5.これって本当に子供のためなの?

子供たちのためと言うのであれば、「夏休みのしおり」に次のように明記すれば良いのではないでしょうか?

「夏休みの宿題の提出日は夏休み終了後2週間以内です!」

実際、私は職員会議で「夏休みのしおりに明記する」提案をしました。

しかし、返ってきた意見は次のようなものでした。

「明記したら子供たちが宿題をやらなくなる!」
「夏休み明けに宿題をやる子が増える!」
「それでは宿題の意味がない!」
「知識の定着には、毎日、勉強することが大切だ!」など

また、「宿題を増やすと不登校が増える」に対しても、次のような提案をしました。

「提出を急かすと不登校になると言うのなら、事前に提出期限を伝えたらどうですか?」

『君は不登校になりそうだから、宿題はやらなくていいよ!』
『提出は2週間後でいいからムリしないでね!』
『宿題をやらなくていいから登校してね!』

しかし、この提案も却下されました。

「特別扱いをするのは良くない!」
「授業について行けなくなる!」
「そんな事を言うと宿題をやらなくなる!」など

6.宿題をできるようにするにはどうする?

私の考え方は北中の先生方とは完全に逆です。

「もし、やらない可能性が高い子供がいるのであれば、事前に声をかけたり、一緒にやったりすればいい!」
「自分で取りかかることが出来ないのであれば、キッカケを作って『作業興奮』状態をつくればいい!」
「夏休み中も電話をしたり、登校を促したり、声をかけたりして、確認をすればいい!」

また、宿題の提出期限のせいで不登校が増えてしまうと考えるのであれば、「期限を守れるようにするには何をすればよい?」と考えます。

「夏休みに家庭訪問をして一緒に宿題をやるのはどうだろう?」
「学校に来られるなら勉強会を開催しようかな?」
「後回しにならないように、夏休みの前半~中盤にかけて声をかけよう!」
「宿題をやった日は、親と連携して褒めよう!」
「確認をして『やらない日がなくなる』ようにしよう!」など

7.個別の支援を嫌がる教師たち

しかし、先生たちは私の考えを否定します。

否定する先生たちが最初に言うのは「子供のやる気」や「意志の尊重」についてです。

「ムリに学校に呼んだり、宿題をやらせるのは良くないと思います!」
「勉強はイヤイヤやっても身につきません!」
「やる気がないのにやらせるのは逆効果です!」
「勉強はやる気になれば、いつからだって出来ます!」
「子供の意志を尊重することが大切だと思います。」など

教員の多忙が世間に認知されてからは、次のように言う先生が増えました。

「夏休みに家庭訪問をするなんてムリ!」
「何で個別に補習をしなきゃいけないの?」
「他の仕事が忙しいので補習なんてできません!」
「教員は多忙なんだから、そんなこと出来ません!」
「先生の言うことは理想論です!」
「現実に1人ひとりの対応なんて出来ません!」など

それなら、夏休みの宿題をなしにすればいいのに・・・・。

8.宿題の提出と「荒れ」「学級崩壊」の関係

本題に戻ります。

「長期休業明けの宿題は2週間後までに提出するように促す。」

なぜ、この一文が「荒れ」や「学級崩壊」の原因となるのでしょう。

まず、次のように考える教師が増えます。

「やっぱり、あいつ(素行の悪い子供)は出さなかった。」
「どうせ、提出を促してもやらないだろうな!」
「職員会議で2週間の猶予があるから、まだ、注意しなくていいか!」

(2週間後)

「一応、2回は声をかけたけど・・・。」
「やっぱり、あいつは宿題をやらなかった!」
「まあ、注意はしたから、後は自己責任だな!」
「どうせ、言ってもやらないだろうし!」
「本人が損をするだけだから放っておこう!」

やる気のない教師たちは、この一文を口実に指導をしなくなるのです。

9.真面目な子供の心理

「長期休業明けの宿題は2週間後までに提出するように促す。」

このような対応を教師が行うと「真面目な子供」の心が教師から離れていきます。

「毎日、宿題をやったぞ!」
「私は最後の2日で終わらせた!笑」
「俺も何とか終わったよ!」
「疲れたけど、何とか終わって良かった~。」など

最後の2日で、慌てて宿題を終わらせたとしても、期限を守ったことは素晴らしいことです。

しかし、教師が2週間後までに提出を促す対応をとると・・・。

「え~、Aくんは宿題を出してないらしいよ!」
「何で先生は怒らないんだ!」
「何か2週間後までに出せばいいって言ってたよ!」
「Aばっかりずるいよな~!」
「先生は差別してる!」

さらに子供たちは次のように考えるようになります。

「俺も来年は夏休みが終わってからやろう!」
「私もそうする!」
「夏休み最後の2日、遊べば良かった!」

真面目な子供たちは「自分のガンバリ」が無駄に思えてしまうのです。

10.言っている事の矛盾に気がつかない教師たち

これに対して、次のように言う教師は少なくありません。

「人は人、自分は自分!」
「他人と自分を比べるのは良くない!」
「勉強は自分のためにするもの!」
「宿題をやらなかったAは後で後悔する!」
「Aは○年後の受験で損をする!」など

何度も言いますが、このような考え方をするのであれば、宿題をなくせばよいのではないでしょうか?

もちろん、勉強をやらない子は増え、「テスト」や「全国学力学習状況調査」の平均点は下がるでしょう!

しかし、先生たちは「他校や他県と比べるのは良くない!」と考えているはずです。

それなら、教育委員会や校長から何を言われても「他校や他県と比べるのは良くない!」と言い返せばよいのではないでしょうか?

11.付和雷同組の子供って?どんな子供たち?

クラスには30~40人の子供がいます。

30~40人も子供がいると、その中には必ず「真面目な子供」が2~3人はいます。

同様に、「ヤンチャな子供」も必ず2~3人います。

「学校の荒れ」や「学級崩壊」の原因が2~3人の「ヤンチャな子」だと思っている先生がいます。

しかし、これは間違った考えです。

実は「学校の荒れ」や「学級崩壊」の原因となるのは2~3人の「ヤンチャな子供」ではありません。

もちろん、2~3人の「真面目な子供」でもありません。

大切なのは「ヤンチャな子供」と「真面目な子供」以外の「付和雷同組の子供」なのです。

12.良い事は褒め、悪い事は怒る!

実は「学校の荒れ」や「学級崩壊」を防ぐのは簡単です。

先生が「当たり前の事を当たり前にする」対応をすれば良いのです。

「Aさんが悪口を言った!」→「Aくんを注意する。」
「Bくんが友達を手伝った!」→「Bくんを褒める。」
「Cさんが係の仕事を忘れずに行っている!」→「Cさんを褒める。」
「DくんとEくんがケンカをした!」→「CくんとDくんの2人を指導する。」
「Fくんが黙々と清掃活動をしている!」→「Fくんを褒める。」
「Gくんのロッカーが整頓されている!」→「Gくんを褒める。」など

当たり前の対応とは「悪いことをした子供は注意する」「良い事をした子供は褒める」という対応です。

しかし、最近は次のような考え方が主流になっています。

「子どもを怒るのは良くない!」
「優しく声をかけ、『心に落ちる』話をしなければダメだ!」
「子どもが自分の行動を反省し納得することが大切だ!」
「納得すれば、子どもは自然と良い行動を取るようになる。」など

そのため、「怒る」「注意する」「指導する」が出来ない先生が増えているのです。

13.付和雷同組の子供たちの心理

先生が「悪いことをした子供」を注意しないとどうなるのでしょうか?

2~3人の「真面目な子供」は、他の子の行動に振り回されず、「正しい行動」を続けることができます。

しかし、クラスの大多数を占める「付和雷同組の子供たち」は、悪い方に流されていきます。

「Aは宿題を提出していないけど怒られていない!」
「Bは授業中におしゃべりをしているけど注意されない!」
「Cは暴言を吐いてるけど優しく声をかけられたダケだ!」
「Dは先生を無視しているけど何も言われない!」

実は「付和雷同組の子供たち」が先頭に立って問題行動をすることはありません。

しかし、問題行動を起こす「ヤンチャな子供」を見て、いえ、それ以上に「教師の対応」を見て行動を起こすのです。

「○○先生は無視しても大丈夫そうだ!」
「△△先生は怖いから言うことを聞こう!」
「××先生はたまに怒るけど面白い先生だから・・・。」など

教師が「当たり前の事を当たり前にする」対応を行えば、褒める「ダケ」でなく指導を行えば、事前支援に力を入れれば・・・。

14.正しい声かけで200人中194人が提出!

「長期休業明けの宿題は2週間後までに提出するように促す。」

私は職員会議で、この一文の変更を求めました。

しかし、昨年度から北中学校にいて「荒れ」や「学級崩壊」を起こしてきた先生たちは強く反対します。

その結果、この一文はそのまま残されることとなったのです。

しかし、私は「生徒指導主事」と「学年副主任」の立場を利用して、新1年生(私の学年)には次のような対応を行いました。

① 始業式終了後に学年集会を開く。
② 宿題を全て終わらせた子供を挙手させる。
③ 全ての宿題を終わらせた子供に対し全員で拍手を送る。
④ 宿題が終わっていない子供に警告をする。

「明日の朝までに提出しない場合は、放課後、先生(私)と一緒にやってもらいます!」
「部活の顧問や親には生徒指導主事の先生(私)が連絡します!」
「もし、明日の朝までに終わらなそうな場合は担任に申し出て下さい!」
「どうするかは、担任と先生(私)で決めます!」

たった15分の学年集会でしたが効果は絶大でした。

翌日の朝までに全ての宿題を提出できなかった子どもは200人中6人ダケだったのです。

15.残り6人も3日以内に提出完了!

予告どおり、私はその6人と一緒に放課後の宿題会を行います。

分からない問題を教えたり、答えを写している子供を「見えていないフリ」をしたり。

その結果、夏休み終了後3日で全員が宿題を終わらせ、提出する事ができたのです。

ご想像どおり、この6人は全員が「ヤンチャな子供」です。

ただ、宿題会で全ての宿題を終わらせたこと、私や担任、親に褒められたことにより、その後、中学を卒業するまで宿題の期限を守るようになりました。

さらには、宿題を出す習慣が出来たことで基礎学力が定着します。

これにより、「全国学力学習状況調査」においては、全国平均+10点(ポイント)、県平均+12点(ポイント)という結果を出します。

※ 他学年の結果は「県平均」程度ですので、この学校の子供たちが特別に優秀というわけではありません。

16.あなたのお子さんの学校は大丈夫?

あなたのお子さんの学校は大丈夫ですか?

宿題を提出していない子はいませんか?

先生たちは、提出していない子供を支援(指導)していますか?

うやむやにして未提出のままになっていませんか?

もし、宿題の提出率が悪いなら・・・、未提出が許されているなら・・・。

あなたのお子さんのクラスは「学級崩壊」し、学校は「荒れる」かもしれません。

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子供に良く思われたい教師②「貸し傘」を返さない子供達

借りた物を返すのは当たり前なのに・・・

1.学校には「貸し傘」や「貸しスリッパ」があるんです!

みなさんは学校に「貸し傘」や「貸しスリッパ」があるのをご存じですか?

最近の学校では、傘を忘れた子供のために「貸し傘」があります。

同様に上履きを忘れた子供のために、「貸しスリッパ」というものもあります。

「子供が傘を忘れてしまった時に、濡れて帰らせるのはかわいそう!」
「上履きを忘れたときに、スリッパがないと靴下が汚れてかわいそう!」
「足が冷たくなってかわいそう!」

このような理由から、「貸し傘」や「貸しスリッパ」を置いている学校が多くあると思います。

私の学校では、「貸し傘」「貸しスリッパ」をこのように管理していました。

① 傘、上履きを忘れた。
② 学年主任の先生に申し出る。
③ 名簿に名前を書く。
④ 傘、スリッパを借りる。
⑤ 翌日(スリッパは放課後)学年主任に借りたものを返す。
⑥ 主任は名簿の返却欄にチェックを入れる。

2.「貸し傘50本」と「貸しスリッパ50足」を準備!

A市の北中学校で生徒指導主事をしていたときの話です。

北中学校は大規模校で1学年250人弱の学校です。

私は生徒指導主事として4月の最初に「貸し傘」と「貸しスリッパ」を用意しました。

万が一、多くの子が忘れた場合でも貸出ができるように、傘を50本、スリッパも50足ほど用意しました。

返却を前提としているため、全ての傘とスリッパに番号を書き管理することにします。

※ 私が赴任したときは傘やスリッパに番号は書いてありませんでした。

3.突然の雨!傘の貸出が増えるはず!

私が北中学校に赴任して半年ほどが経った頃。

突然、土砂降りの雨が降ってきました。

天気予報でも雨の予報はなかったため、傘を忘れた子が多くいます。

放課後、傘の貸出で混乱することが予想されたため、私は「傘の貸出窓口」を設置することにしました。

そして、担任の先生たちに次のように伝えます。

「傘を借りたい生徒は『帰りの会』終了後、職員玄関前の『貸出窓口』に来るように伝えて下さい。」

私はクラスの「帰りの会」を副担任にお願いし、「貸し傘」をしまってある倉庫に向かいます。

貸出窓口に「50本+αの傘」を準備しておこうと考えたのです。

4.50本あるはずの貸し傘が24本しかない!

貸し傘をしまってある倉庫に入った私は違和感を感じました。

ただ、その違和感の正体はスグに分かります。

50本あったはずの貸し傘が極端に少なくなっていたのです。

実際に数えてみると、貸し傘は「24本」しかありません。

貸し傘が「半分以下」になっている事は気になりましたが、そこで考えている時間はありません。

私はスグに倉庫の奥にしまった「廃棄予定の傘」から、使えそうな傘を選び「貸し傘」を補充します。

少し壊れている傘もありましたが、何とか60本ほどの貸し傘を用意することができました。

5.貸し出すときに一声かけたことで返却率アップ!

放課後、「貸出窓口」には傘を借りたいという子供が60人ほどやって来ました。

私は順番に名簿に名前を書かせて、次のように言って傘を渡していきます。

「明日、職員室に持ってきて!」
「絶対に忘れないでね!」

翌日、ほとんどの生徒が傘を返しに来ました。

もちろん、数人ほどですが忘れてくる子もいました。

私は「忘れた子の担任」に声かけをお願いしました。

「明日は必ず傘を持ってくるように伝えて下さい。」
「もし持って来なければ、放課後とりに行かせると伝えて下さい。」
「あと親にも連絡すると伝えて下さい。」

担任に声をかけてもらったことで、傘を貸した2日後には全ての傘が返却されました。

6.「貸し傘」だけでなく「貸しスリッパ」も半分以下に!

全部の傘が返ってきたことで一安心した私は、貸出前の時点で「貸し傘」が半分以下に減っていたことを思い出します。

そこで、私は名簿を確認しました。

すると「返却されていない傘」が20本ほどあることが分かったのです。

※ それでも少し足りないのですが・・・。

同様に「貸しスリッパ」も調べてみると・・・。

50足中15足が返却されていないことがわかりました。

いくら古かろうと傘やスリッパは学校の備品です。

また、「借りたものを返さない」というのは、教育上よいことではありません。

私は未返却の子供をピックアップして、スグに返却させようと考えたのです。

7.スグに返却するように呼びかけると・・・

未返却の「貸し傘」「貸しスリッパ」の内訳は次のようになっていました。。

1年生(私の学年):0人
2年生(主任は体育):2人
3年生(主任は渡壁先生):29人(うち4人は両方)

すぐに私は各担任に指示を出します。

「先生のクラスの○○が傘を借りたままです。」
「スリッパは今日の放課後、傘は明日までに回収してください。」

しかし、翌日に返却された「貸し傘」と「貸しスリッパ」は半分ほどでした。

「借りたことを忘れてしまって、どこにあるか分からないそうです。」
「家を探したけれど見つからなかったと言っています。」など

どうやら、未返却の理由は「紛失」のようです。

8.スリッパの紛失が少なかった理由は?

そんな中、「貸しスリッパ」の紛失が少なく、回収率が高かったことには少し驚きました。

ただ、子供たちが「貸しスリッパ」を紛失しなかった理由は納得がいくものでした。

なぜなら、その子たちは「貸しスリッパ」を自分専用に使っていたからです。

上履きを忘れたとき用に下駄箱に入れてある子もいれば、常にスリッパで過ごしている子供もいました。

常にスリッパを履いていたのであれば、貸出責任者の主任はスグに気づけたのではないでしょうか?

そこで、上履きを履く(持ってくる)指導をしていれば、スリッパを自分専用にすることはなかったと思うのですが・・・。

ただ、3年の学年主任は渡壁先生です。

子供たちの「明日、持ってきます!」という言葉を信じ続けていた(?)ことは容易に想像できたのです。

9.借りた回数:1年生18回、2年生25回、3年生143回?

私は「貸し傘」や「貸しスリッパ」の名簿に「3年生」の名前が異常に多いことに気づきました。

そこで、半年間の名簿を全てチェックし、どの学年の子供が「貸し傘」や「貸しスリッパ」を多く利用しているかを調べます。

・1年生(私の学年) 合計:18回
・2年生(主任は体育) 合計:25回
・3年生(主任は渡壁先生) 合計:143回

圧倒的に渡壁先生の学年が多いことがわかりました。

実際、「貸し傘」や「貸しスリッパ」の未返却、紛失のほとんどが3年生であったことからも、この結果は妥当なものと言えるでしょう。

それにしても、3年生の利用者が1,2年の6~7倍と言うのは・・・。

良く言えば「借りやすい雰囲気」がある、悪く言えば「安易に借りている」と言えるでしょう。

学校の「貸し傘」や「貸しスリッパ」としては、どちらか良いのでしょうか?

10.忘れ物が「多い」と「少ない」この違いは?

6~7倍もの違いは、どこから来るのでしょうか?

1年生が「貸し傘」や「貸しスリッパ」を借りに来たとき、私は常に声をかけます。

「明日(放課後)にちゃんと持ってきてよ!」
「忘れないようにしてよ!」
「借パクはダメだからね!」

子供たちに対して「強く」指導をしているわけではありません。

当たり前のことを当たり前に伝えているダケなのです。

2年学年主任は体育の先生です。(野球部顧問でもあります。)

昔ながらの体育の先生をイメージして下さい。

そのイメージがピッタリの先生です。

2年の学年主任は「強い声かけ」をしていたそうです。

「次は絶対に忘れるんじゃないぞ!」
「必ず、返しに来いよ!」
「忘れたら、明日は貸さないからな!」

11.人間だから忘れることもあるよ!?

3年主任の渡壁先生は「問題行動を起こす生徒」や「そのお親たち」から、「良い先生」と評判の先生です。

「渡壁先生は子供の話を信じてくれる!」
「子供のことを信用してくれる!」
「あの先生が怒っているところを見たことがない。」
「常に笑顔で優しい先生だ!」
「子供の気持ちに寄り添ってくれる!」など

ただ、渡壁先生の学年では、必ず「いじめ」が起こり、「不登校」の子供は全国平均の倍以上となります。

さて、保護者から評判のよい渡壁先生はどのように声をかけていたのでしょうか?

「スリッパ(傘)を忘れちゃったの?」
「それは大変だね~。」
「そこに名前を書いて持っていっていいよ!」

返却率が悪いことについても聞いてみました。

「人間だから忘れることもあるでしょ!」
「西川先生だって忘れることはあるでしょ?」
「今どき、傘とかスリッパを盗む子なんていないよ!」
「子供たちはチャンと返してくれるよ!」

12.損害はないから返さなくてもいい?

元々、忘れ物として倉庫に保管されていた傘を「貸し傘」としていました。

また、新しいスリッパを買ったことで、必要なくなった古いスリッパを再利用しているのが「貸しスリッパ」です。

備品とは言っても、それらが、なくなったからと言って損害が生じるものではありません。

ただ、私は教師として、「貸し傘」「貸しスリッパ」と名前がついている限り、「借りたら返すこと」が「正しい考え」だと思っています。

「損害がないなら気にする必要はない!」
「子供たちを信じてあげることが大切だ!」

このように考えている先生は少なくありません。

しかし、このように考え「ルール」を疎かにする先生が多い学年は「荒れ」ていく傾向にあります。

当然ですが、学年が「荒れ」ると、「いじめ」や「無視」などの問題行動が多くなり、真面目な子供たちが「不登校」となってしまうのです。

真面目な子供が損をするような学校(学年)にはしたくないと思っているのは私だけなのでしょうか?


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子供に良く思われたい教師③好きな弁当を注文できる?

親にウソをついて弁当を忘れて唐揚げ弁当を注文!

1.年に数回ある「お弁当」は誰がつくる?

ほとんどの公立小学校、公立中学校には給食があります。

※ 地域によっては「小学校だけ」「小学校と中学校の両方」とも給食がない学校もあります。

ただ、年に数回は行事の関係などで家から「お弁当」をもっていく日があると思います。

そんな日は、保護者の方が朝早くに起きてお弁当を作ってくれるでしょう。

もちろん、自分でお弁当を作って持ってくる子供もいます。

余談ですが、中学校時代に自分で作った「チャーハン弁当」を持ってくる友人がいました。

弁当箱いっぱいに「チャーハン」が詰まっている、おかずなしの弁当です。

そのチャーハンがとてもおいしそうに見えた私は、自分の「おかず」と「チャーハン」の交換を持ちかけました。

そのチャーハンを一口食べた私は次のように思います。

「なんて、おいしいチャーハンだ!」
「うちのお母さんよりおいしい!」
「お店の味みたいだ!」

現在も「私が作るチャーハン」は、その友達に教えてもらったレシピを使用しています。

2.先生たちは「お弁当」をどうしてる?

給食のない日、先生たちはどうしているのでしょうか?

自分で作った「お弁当」を持ってくる先生もいます。

朝、近くのコンビニで弁当を買ってくる先生もいます。

前日に、用務員さんが希望者の弁当を注文してくれる学校もあります。

当日、先生が弁当を忘れていたとしても、2時間目位までであれば「追加注文」できたりもします。

注文した弁当は「用務員さん」や「担当の先生」が取りに行ったり、配達してもらったりします。

3.荒れた学校には「ご機嫌を伺う」ルールばかり!

ある市のA中学校は「荒れ」ていると評判の学校でした。

私は「教育委員会」と「校長」「前生徒指導主事」のご指名で、A中学校の生徒指導主事として勤務することになりました。

その学校の「ルール(?)」には驚くべき事がたくさんありました。

この「ルール(?)」は、学校が荒れたことによって、もしくは、子供たちや保護者の「ご機嫌を取る為」にできた「ルール(?)」でしょう。

私が驚いた「ルール(?)」には次のようなものがありました。

・お弁当を忘れたときのルール。
・傘を忘れてしまった時のルール。
・上履きを忘れてしまった時のルール。
・窓を割ってしまった時のルール。
・宿題を忘れて(やらなかった)時のルール。など

4.弁当を忘れないように3日前から呼びかけ!

お弁当を持ってくる日の3日前。

私は帰りの会で次のような声かけをします。

「明明後日はお弁当だからね~。」
「家の人にちゃんと言うんだよ!」
「もちろん、自分で作ってくるのも良いかもね!」
「お弁当を作る人の大変さが分かるんじゃない!」
「先生の教え子に料理が趣味で常にお弁当を自分で作ってくる子がいたよ。」
「自分で作る、作らないは置いておいて、忘れないでよ!」
「絶対に忘れないでよ!」

すると、ノリの良い子がツッコミを入れます。

「先生!」
「それは、逆張りって事ですよね!」
「忘れるなを何度も言うってことは、忘れろって事でしょ!笑」
「押すな、押すなと一緒なんでしょ!笑」

彼と私は3日間、同じやりとりを繰り返しました。笑

5.弁当を忘れたらスグに家に電話!

前日の帰りの会では、もう少し細かい話も伝えます。

「明日はお弁当を絶対に忘れちゃダメだよ!」
「忘れたら、すぐに家に電話して持ってきてもらってよ!」
「学校では買うことが出来ないからね!」

すると、1人の子供から質問の手が上がります。

「先生~。」
「万が一、忘れちゃって、家に誰もいなかったらどうするの?」

私が質問に答えます。

「まずは会社に電話するでしょ。」
「それでもダメなら・・・。」

6.連絡がつかなかったら・・・・

「それでもダメなら・・・。」
「その時は先生が買って来るよ!」

子供たちからは次のような声が聞こえます。

「先生って優しいね~!」
「○○の弁当を買ってきてくれるの?」
「そっちのが良いな~。」
「明日、忘れて来ようかな~。笑」

すかさず、私は「優しくない」理由を伝えます。

「先生が買ってくるのは『食パン』と『ジャム』だよ!」
「もしくは『梅おにぎり』5個!」
「バナナ3本とかの場合もあるよ~。」

7.「お弁当を忘れた子0人」に驚く主任

翌日の朝、子供たちにお弁当を忘れていないかを確認します。

「お弁当を忘れた子はいない?」

3日前からの声かけと脅し(?)がきいたのか、お弁当を忘れて来た子供は一人もいませんでした。

授業の前に私が職員室に戻ると主任が声をかけてきます。

「お弁当を忘れた子は何人?」
「何個、注文すればいい?」

主任の質問には違和感があります。

ただ、1時間目の授業に向かうために、急いでいた私は違和感を無視して答えます。

「0人です!」

すると学年主任が驚きと困惑の表情で聞き返して来ます。

「えっ本当ですか?」
「誰も注文しないんですか?」

8.担任の机の上にお弁当が5個!?

4時間目が空き時間だった私は職員室に戻ります。

書類の整理を始めて少し経つと「お弁当屋さん」が職員室に弁当を持ってきてくれました。

私は副担任が持っていたメモを元に「弁当を注文した先生」の机の上に、弁当を置いていきます。

「えっ?」
「B組の先生の机の上にお弁当が3個?」
「C組は2個だけど、D組は1個?」
「E組は5個?」
「F組は4個?」

私は副担任に「弁当の数」について聞きました。

「お弁当を忘れた子の分を注文しているんです。」
「B組は2人、C組は1人、D組は0人、E組は5人、F組は4人です。」

私の学年は6クラスで生徒数は約200人です。

その中で弁当を忘れた子が「12人」いたのです。

放課後に他の学年に確認をすると、2年生(6クラス)は「19人」、3年生(6クラス)は「24人」もの子供が弁当を忘れて(?)いた事が分かりました。(合計55人)

9.忘れた子は好きなお弁当を注文できる!

この学校の「弁当ルール(?)」はどうなっているのでしょう?

放課後、私はA中勤務歴5年のE組担任に聞いてみました。

「お弁当を忘れたからといって昼食を抜きにはできません。」

『そりゃ、そうですよね。』

「本校では、忘れた子供の弁当は注文するようにしています。」
「もちろん、代金は後から払ってもらいます。」

『まあ、それはアリだよね。』

「弁当を注文してあげるのは『いじめ防止』の意味もあります。」

『ん?』
『それは、ちょっと違うような・・・。』

「朝、弁当の確認をして忘れた子にはメニューのコピーを渡します。」

『ん?』
『もしかして?』

「子供はメニューから食べたいお弁当を決め、担任に伝えます。」
「担任は主任や担当に弁当の種類を伝え、注文してもらいます。」

私は弁当の注文数について確認します。

「1学期から3学期にかけて、注文数は増えるのではないですか?」
「1年から3年にかけても、注文数が増えるのではないですか?」

E組担任の回答は予想どおりのものでした。

10.「弁当ルール(?)」が出来た背景は?

荒れている学校の先生たちは、子供に対して「注意ができない」「指導ができない」「反論ができない」状態にあります。

ただ、先生たちは「できない」ということを認めたくないようで、「理想論」を盾に自分を守る傾向にあります。

実際、岩谷先生以外にも「弁当ルール(?)」の話を聞くと、次のように仰っていた先生もいます。

「子供たちの成長のためにバランスの良い食事が大切だと思います。」

『それなら、弁当を選ばせるのはおかしいのでは?』

「仕事をしている親が多いから、電話で持ってきてもらうのは申し訳ない。」

『親の為ではなく、親と電話で話すのが面倒なのでは?』
『何か文句を言われるのがイヤなのでは?』

実際、「弁当のルール(?)」ができた理由は「子供のことを思って」ではないように思います。

本音の所では次のような理由ではないでしょうか?

「お弁当を忘れた子を注意するのは面倒だ!」
「逆ギレされても困るし、自分が買いに行くのもイヤだ!」
「親に電話して、ムリなことを言われるのもいやだ!」
「それなら、教師と一緒に注文すればいいじゃん!」
「そうすれば、子供も満足するだろう!」
「親も感謝してくれるだろう!」

11.弁当についての極秘調査命令を受ける

私は「弁当ルール(?)」について、赴任したばかりの校長に伝えます。

すると「弁当ルール(?)」に驚いた校長は、私に「極秘調査」を命令しました。

その結果は次のようなものでした。

・弁当の「回数を重ねる」ごとに、注文する子供が「増え」ている。
・1年生→2年生→3年生の「順」に、注文する子供が「多く」なっている。
・注文を「2回以上」したことがある子供が「9割」を超えている。
・弁当を忘れている子の中には「いじめ被害者傾向」の子供は「0人」である。
※ どちらかというと「いじめ加害者傾向」の子供ばかりでした。
・最も人気のある弁当は「唐揚げ弁当」で、栄養のバランスは「悪い」ものだった。

また、弁当を「2回以上」注文している親には電話でアンケートを行いました。

すると、親御さんたちが子供たちから「次のように言われている」ことも分かりました。

「クラスのみんながお弁当をコンビニで買っている!」
「みんなと同じにしないとバカにされる!」
「自分でコンビニ弁当を買うから金をくれ!」

学校で「弁当を注文している」ことを知っている親は数人だったのです。

12.弁当事前事後マニュアル作成(笑)

バカバカしい話ですが、その年の夏休みに生徒指導部で「弁当事前事後マニュアル」を作成しました。

これにより、弁当を忘れる子供が激減します。

もちろん、弁当を忘れてしまった子に対して、次のように言うことはありません。

「忘れたお前が悪い!」
「お腹がすいても我慢しろ!」
「我慢できないなら、その辺に生えている草でも食ってろ!」

弁当を忘れてしまった子供に対しては「次回以降に忘れないように注意」をして、学校で弁当を用意したのです。

ただし、自分でメニューから選ぶ訳ではなく、次の2つから選んでもらうことにしました。

「幕の内弁当」or「ノリ弁当」

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交通費の節約?横領?浮いたお金で居酒屋へ

年に1~2万円程度だから許す?許さない?

1.出張の基本は電車移動!自動車での移動は許可制!

先日、訪問カウンセリングに行くときに電車を使用しました。

教員時代、研修先に行くために使っていた電車です。

すると、その電車を使っていたときの記憶が蘇ってきました。

同じ学校にいた宮田先生(仮名)と事務員さんの記憶です。

その記憶は宮田先生が出張の交通費を横領?して、それに巻き込まれたときの記憶です。

ちなみに、私が教員をしていた場所では出張の基本は電車移動です。

出張先が不便な場所にあるときは自動車での移動が認められることはありますが、基本的には電車移動と決められている場所でした。

2.事務員さんの指示どおり普通電車と新幹線で移動!

あるとき、遠い場所での宿泊研修に行くことになりました。

各学校から2名が参加して行われる研修です。

私は何も考えずに、事務員さんの提示して下さった在来線と新幹線を使って研修先に参加することにしました。

研修当日の朝。

私が乗っている在来線や新幹線には宮田先生の姿はありません。

しかし、研修先には宮田先生が先に到着しています。

『1本、早い電車で来たのかな?』

私は宮田先生が先に到着していた理由を深く考えませんでした。

3.事務員が「新幹線代は出せない!」と言った!?

午前の研修が終わると宮田先生が私に話しかけて来ます。

「西川先生、知ってますか?」
「事務員さんが『新幹線代は出せない!』って言ってたんですよ!」
「コッチはこんな遠くまで研修に来ているのに酷くないですか?」
「普通電車のお金しか出してもらえないなんて!」
「あの事務員さんケチですよ!」

私は驚きました。

『事務員さんに言われた新幹線を使ってきたのに!』
『新幹線代は出してくれないの?』
『出張は命令なのに自腹なの?』

さらには、このように思いました。

『帰りは普通電車で帰らなきゃいけないのか~。』
『4時間はかかるぞ~。』
『家につくのは8時ってことだよな~。』
『はぁ~。』
『何で出張で自腹をきって、さらには帰る時間も遅くなるんだよ!』

4.「何で新幹線代が出ないんですか!」文句を言いに行くと

宿泊研修が終わった翌日、私は事務員さんに文句を言いにいきます。

「何で新幹線代が出なくなったんですか!」
「出ないなら先に言って下さいよ!」
「自腹なら行きも普通電車で行ったのに!」

度量の小さい男と思われるかもしれませんが、自腹をきりたくない私は事務員さんを問い詰めます。

「先週は新幹線で行くようにと言っていましたよね!」
「どんな理由で新幹線代が出なくなったのかは知りません!」
「でも、これは完全に事務員さんのミスですよね!」
「だから、行きの新幹線代は出して下さいよ!」

事務員さんは私が怒っていることに驚いていました。

しかし、事務員さんは冷静に返答をします。

「もちろん、新幹線代は出しますよ!」

5.新幹線代は出るに決まっているじゃないですか?!

「えっ?」
「出してくれるんですか?」
「ん?」
「あっ、それならいいんです。」

予想外の事務員さん言葉に、私はキョトンとしてしまいました。

「西川先生!どうして、新幹線代が出ないと思ったんですか?」
「私が指定した方法で研修先に向かったんですよね?」
「それなら、新幹線代はでるに決まっているじゃないですか!」

さらに、私はキョトンとしてしまいました。

「もしかして、宮田先生から聞いたんですか?」
「新幹線代が出ないと私が言っていたと?」

6.ウソの書類で交通費を横領しようとしていた?

私は宮田先生に聞いた内容を事務員さんに伝えます。

すると、事務員さんが「新幹線代を出さない」と言った理由を教えてくれました。

「他の学校の事務員さんから連絡があったんです。」
「宮田先生は車で出張に行こうとしていると。」
「それも、他校の先生と3人で相乗りしていく計画だったんです。」
「もちろん、事務に提出している書類には新幹線でいくことになっています。」
「校長に確認をしたところ『宮田先生を信じる』と言うんです。」

どうやら、宮田先生は仲の良い他校の先生と一緒に車で出張先に行こうとしていたようです。

事務員さんの話では過去にも同じようなことを何度もしているとのことです。

単純に新幹線代が往復で1万円程度、高速代とガソリン代の合計も1万円程度です。

しかし、車の場合は3人で相乗りするので1人あたま3300円となります。

そう考えると、差し引き6700円ほどお得(横領?)になる計算です。

しかし、波風を立てたくない校長は宮田先生に何も言いません。

「お金の事ですので、曖昧にするわけにはいきません。」
「他校の事務員と相談をして普通電車代を出すことにしたんです。」
「それでも、3人で相乗りしていくので、1人1700円が余計に支払われるんです。」

7.交通費を節約しているんだ!みんなやってる!

さらに、事務員さんは話を続けます。

「出張前に宮田先生に普通電車代のことを伝えたんです。」

『何で新幹線代が出ないんですか?』
『今までは出してくれていたのに?』
『事務員さんが細かすぎるんじゃないですか?』
『他の先生もやっていることですよ!』

「他の先生もやっていると言うので、事務長から校長会や教育委員会に伝えてもらうと伝えました。」
「そうしたら、宮田先生は私に捨て台詞を吐いて出て行きましたよ!(笑)」

『俺は交通費を節約しているんだ!』
『無駄なお金を使わないようにしているのに!』

「それが本当なら差額を返金してもらいたいんですけどね!(笑)」

8.年に1~2万円の横領を許せる?許せない?

『俺は交通費を節約しているんだ!』
『無駄なお金を使わないようにしているのに!』

正直、このような発想は私にはなかったので、少しだけ宮田先生を尊敬しました。

1台の車に3人が相乗りしていけば出張費が抑えられるからです。

3人ではなく4人で相乗りすれば、さらに、出張費を抑えることができます。

しかし、宮田先生とその仲間たちは、今まで1台の車で相乗りして浮いた交通費を自分たちの飲み代に回していたそうです。

最近、知られれるようになってきましたが、教員の世界はブラックです。

先生たちの善意や自腹によって成り立っている世界です。

年に数回の遠方への出張で1万円~2万円を自分の懐に入れる行為。

あなたなら、校長のように見逃してあげますか?

それとも事務員さんのように注意をしますか?

ちなみに、現在、宮田先生は主幹教諭となっています。

来年あたりには教頭になり、数年後には校長になることでしょう。

9.さすが!交通費に敏感な事務員さん!

宮田先生の話が終わった後、事務員さんが私にこう言います。

「西川先生!」
「昨日は普通電車で帰って来たんですね!」
「それなら、この書類の『新幹線』の部分を『普通電車』に書き直して下さい。」
「行きの新幹線代は出ますので安心して下さいね!」
「もちろん、帰りの普通電車代も出ますよ!」
「出張の交通費は自腹になりませんから安心して下さい!」

さすがは事務員さんです。

私との会話から、私が普通電車で帰ってきたことに気づき、すかさず書類の書き直しを提案してきたのです。

確かに帰りは普通電車で帰ってきましたが・・・・。

早とちり?して普通電車に変えたのは自分なのですが・・・・。

家につくまで4時間もかかったのですが・・・・。

生徒指導主事の私は性格的にも立場的にもルールは守らなければなりません。

私はスグに書類を書き直し、事務員さんに提出をしたのでした。

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